株式会社富士経済は、新型コロナの5類移行を受けて大幅に回復した2023年に引き続き、2024年に入っても訪日外国人の増加によるインバウンド需要の拡大でプラスの動きがみられる一般用医薬品の国内市場を調査し、その結果を「一般用医薬品データブック 2024-2025」にまとめました。
この調査では、17カテゴリー74品目の一般用医薬品の市場の現状を捉え、将来を予想するとともに、スイッチOTCの動向、インバウンド需要が与える市場への影響、プロモーション動向、製品トレンド状況などをまとめました。また、指定医薬部外品の市場動向や類似した訴求を行っている健康・機能食品との競合状況などについても整理しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「一般用医薬品データブック 2024-2025」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
一般用医薬品の国内市場
コロナ禍からの本格回復が続いています。インバウンド需要の急増も拡大に貢献しています。
市場規模が大きいのは感冒関連用薬や外皮用薬、ビタミン剤、胃腸・消化器官用薬などです。コロナ禍で、感冒関連用薬はマスク着用や衛生意識向上に伴う風邪罹患の減少により総合感冒薬や鎮咳去痰剤などが大幅縮小、胃腸・消化器官用薬は外食機会の減少で総合胃腸薬や健胃・消化薬などの需要が減少しました。また、ビタミン剤は一部の品目がインバウンド需要消失の影響を大きく受けました。そのため、一般用医薬品の市場は2020年に大きく落ち込み、2022年まで回復は鈍化しました。
2023年は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流増加、また、外食機会の増加やインバウンド需要の回復により、多くの品目が伸びたため、市場は前年比7.7%増となりました。2024年も前年同様の傾向で好調でありますが、市場の伸びはやや鈍化するとみられます。
カテゴリー別では、外出機会の増加やインバウンド需要の回復などにより2023年から好調が継続しているビタミン剤や漢方処方エキス製剤、生活習慣病関連用薬、外皮用薬、毛髪用薬などが伸びています。
◆注目個別市場サマリー
1.漢方処方エキス製剤
従来、漢方専門薬局を中心としたカウンセリング販売が大部分を占めていました。近年は葛根湯や防風通聖散などがドラッグストアチェーンのセルフ販売を軸に展開され、また、アレルギー対策や疲労対策、女性向けなどに注力した製品が好調で市場は拡大しています。防風通聖散や葛根湯、八味丸・八味地黄丸などの市場規模が大きいです。
2023年は八味丸・八味地黄丸や防風通聖散の伸びに加え、他の医薬品の原材料不足やインフルエンザなどの季節外れの流行を背景に、感冒関連の麦門冬湯や小青竜湯、葛根湯などが好調だったことから市場は拡大しました。2024年の市場は前年と比べると需要が落ち着いていますが、堅調な拡大が期待されます。
コロナ禍以降、セルフメディケーションの観点から漢方薬への注目度が高まっており、ドラッグストアチェーンでは棚割りを増やすなど取り扱いの広がりがみられます。40代女性層が主要な使用者ですが、若年層の需要も高まっており、参入企業はSNSやチャットボットなどデジタルツールを活用した販促に注力しています。
2.強肝解毒栄養剤
ヘパリーゼプラスⅡ(ゼリア新薬工業)やコンクレバン(健創製薬)、レバウルソ(佐藤製薬)など、肝臓への働きかけによって肉体疲労や虚弱体質改善などを訴求する製品を対象とします。従来二日酔い対策需要を取り込んでいましたが、コロナ禍で外食でのアルコール飲用機会が減少したことにより市場は一時的に縮小しました。しかし、二日酔い対策から疲労対策へ需要シフトが進んだことから、市場は堅調に拡大しています。
2023年は上位企業の製品が疲労対策の訴求により幅広い需要を獲得するとともに、インバウンド需要が好調だったことから、市場は二桁の拡大となりました。2024年も前年同様の好調が続いています。
肝機能改善を訴求する健康・機能食品はコロナ禍を経て外食でのアルコール消費量の減少から苦戦していますが、強肝解毒栄養剤は疲労対策の訴求が奏功し、また、一般用医薬品としての効果の高さが訴求できているため、今後も堅調な市場拡大が予想されます。
3.総合感冒薬
コロナ禍で外出機会の減少やマスク着用が常態化したことで風邪罹患率が下がったことにより、一時市場は縮小しました。2022年後半にコロナ禍が収束に向かいインバウンド需要が急増したことなどから、2022年の市場は前年比24.1%増と大幅に増加しました。
2023年はインバウンド需要がさらに増えたことや、医療用医薬品のせき止め薬不足に伴う代替需要を取り込んだことから、市場は前年の伸びを上回りました。2024年は前年に急成長した反動はありますが、効き目や症状別で個人に合わせた製品(パーソナル対応製品)の需要が増加しているため、市場は前年比4.1%増が見込まれます。
現状、常備薬と高機能・パーソナル対応製品の二極化がみられます。コロナ禍以前よりも総合感冒薬の需要は高まっており、シェア上位企業を中心に主力カテゴリーとして注力度の高い状況が続くことから、当面は市場拡大が予想されます。
4.ニキビ用薬
思春期のニキビだけでなく大人ニキビにも利用が広がり、少子高齢化が進む中でも新たな需要を獲得しています。2020年はインバウンド需要が消滅したため大幅に市場は縮小しましたが、その後はマスク着用に伴う肌荒れから国内需要が高まりました。また、2021年には第一三共ヘルスケアが「マキロンアクネージュ」シリーズ発売により新規参入、TVCMなどのプロモーション展開も寄与し、市場は拡大に転じました。
2023年はコロナ禍の収束によるマスク着用率の低下で国内需要は減少しましたが、インバウンド需要が徐々に回復したことから、市場は二桁増で着地しました。2024年はインバウンド需要が本格的に回復し、「ペアアクネクリームW」(ライオン)などが好調で、市場は前年比9.8%増が予想されます。短期的にはインバウンド需要の増加により好調が続くと期待されます。
【参考】本記事で使用した「一般用医薬品データブック 2024-2025」に掲載している調査対象市場
ドリンク剤
- ドリンク剤
- ミニドリンク剤
ビタミン剤
- ビタミンB1主薬製剤
- ビタミンB2主薬製剤
- ビタミンB1B6B12主薬製剤
- しみ改善薬
- ビタミンE主薬製剤
- 総合ビタミン剤
- ビタミンA・D主薬製剤
滋養強壮保健薬
- 滋養強壮剤
- 薬用酒
- 強肝解毒栄養剤
- カルシウム剤
- 造血剤
検査薬
- 妊娠検査薬
- 排卵日検査薬
- 尿糖・尿蛋白検査薬
女性関連薬
- 女性保健薬
- 月経前症候群治療薬
- 腟カンジダ治療薬
神経用薬
- 鎮暈剤
- 小児五疳薬
胃腸・消化器官用薬
- 総合胃腸薬
- 健胃消化薬
- 制酸薬
- 鎮痛鎮痙胃腸薬
- 過敏性腸症候群改善薬
- 胃腸内服液
- 整腸薬
- 止瀉薬
- 便秘薬
- 痔疾用薬
オーラルケア関連用薬
- 歯槽膿漏治療剤
- 外用歯痛剤
- むし歯予防薬
- 口内炎治療剤
漢方製剤
- 漢方処方エキス製剤
感冒関連用薬
- 総合感冒薬
- 風邪滋養内服液
- 葛根湯液
- 解熱鎮痛剤
- 鎮咳去痰剤
- 含嗽剤
- 殺菌塗布剤
アレルギー用薬
- 鼻炎治療剤(内服)
- 点鼻薬
- 抗ヒスタミン剤
生活習慣病関連用薬
- 肥満改善薬
- 血清高コレステロール改善薬
- 中性脂肪値改善薬
- 強心剤
- 内臓脂肪減少薬
外皮用薬
- 鎮痒剤
- 乾燥皮膚用薬
- あかぎれ用薬
- 皮膚治療薬
- 外用殺菌消毒剤
- 救急絆創膏
- 液体絆創膏
- 水虫薬
- イボウオノメ薬
- ニキビ用薬
- 口唇ヘルペス治療薬
- 外用消炎鎮痛剤
毛髪用薬
- 発毛剤
生活改善薬
- 禁煙補助薬
- 頻尿・尿もれ改善薬
- 催眠鎮静剤
- 眠気倦怠防止剤
- 足のむくみ改善薬
環境衛生用薬
- 殺虫剤
- 手指消毒剤
- 哺乳瓶消毒剤
眼科用薬
- 目薬
◆本記事は「一般用医薬品データブック 2024-2025」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。