株式会社富士キメラ総研は、EV・HVの生産台数増加に伴う蓄電池やモーターの需要増加、モノマテリアルや脱プラスチックといった環境対応ニーズの高まりなどの影響がみられる容器包装や工業用の機能性フィルム市場を調査し、その結果を「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」にまとめました。
この調査では、工業・自動車分野6品目、エネルギー分野5品目、ライフサイエンス分野5品目、建築・農業分野6品目、容器包装分野7品目、バリアフィルム分野5品目の機能性フィルムを対象に、市場の現状を明らかにし、将来を展望しました。機能性エレクトロニクスフィルムは、「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」でまとめております。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
工業・自動車分野、エネルギー分野、容器包装分野の機能性フィルムの国内市場
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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工業・自動車 |
108億円 |
110.2% |
128億円 |
130.6% |
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エネルギー |
1,020億円 |
134.0% |
1,633億円 |
2.1倍 |
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容器包装 |
240億円 |
107.6% |
258億円 |
115.7% |
工業・自動車分野は、自動車生産台数の回復により、市場の半分を占める自動車ウィンドウフィルムなど自動車関連のフィルムが好調です。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けた国内でのガソリン車販売の規制検討などを背景に、自動車の電動化が進むとみられ、EV・HV関連の品目が引き続き大きく伸長すると予想されます。遮熱ニーズの上昇によって自動車ウィンドウフィルムは安定した需要が予想されるほか、ガソリン車の規制に伴うEV・HVの生産台数の増加でEV・HVモーター用絶縁フィルムが大きく伸びるとみられ、市場拡大に寄与すると予想されます。
エネルギー分野は、EV・HVの生産台数の増加によってリチウムイオン二次電池(LiB)の需要が高まっており、LiB用セパレーターやLiB用ラミネートフィルムが好調です。
今後も引き続きEV・HVの生産は増えるとみられ、LiB用セパレーターやLiB用ラミネートフィルムが市場拡大をけん引するとみられます。太陽電池向けは、世界市場は拡大しますが、国内での生産は限られているため、国内市場は縮小が続くと予想されます。
容器包装分野は、食品包装や医薬品、トイレタリー向けなどで採用が多いです。特に、食品包装ではフードロス問題の対策として、賞味・消費期限の延長に寄与するイージーピールフィルムや脱酸素フィルムの需要が増加していることなどから、2022年の市場は前年比7.6%増が見込まれます。
今後はイージーピールフィルムが冷凍食品や冷凍弁当など電子レンジ対応食品での採用を進めるとみられるほか、吸湿フィルムの新規医薬品での採用増加や、各フィルムの認知度向上による他用途への展開を通じて、2026年に向けて市場拡大が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.EV・HVモーター用絶縁フィルムの世界市場【工業・自動車分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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105億円 |
181.0% |
236億円 |
4.1倍 |
EV・HVの駆動用モーターに使用される絶縁材のうち、コイルとステーターおよび鉄コアの間を電気絶縁する絶縁フィルムを対象とします。なお、電動車の駆動モーターは、分布巻モーターと当該品が不要な集中巻モーターに大別されますが、主流は分布巻モーターです。
自動車の電動化の進展とともに市場は拡大しており、2022年は前年比81.0%増の105億円が見込まれます。
今後は、CO2排出量規制などの世界的な環境規制強化、欧州をはじめとする内燃車の撤廃などを背景に、EV・HVの普及がさらに進むとみられ、モーター用絶縁フィルムの需要増加が予想されます。モーター容量(出力)が大きいEV・HVの普及に伴い、絶縁フィルムを使用する出力トルクが大きく電磁音も小さい分布巻モーターの採用が増えることも市場拡大の追い風となるとみられます。
2.ペイントプロテクションフィルムの世界市場【工業・自動車分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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854億円 |
134.3% |
1,030億円 |
161.9% |
自動車のボディに張り、小石などが跳ねた際につく汚れや傷を防止するフィルムを対象とします。
2022年は、上半期に原料であるTPU(熱可塑性ポリウレタン)が不足したため、前年に比べて需要の伸びは鈍化しますが、北米や中国の需要が旺盛なため、市場拡大が予想されます。特に、中国では高級車向けが伸びています。
従来は、ボディの前面のみなど施工範囲を限定するケースも多かったですが、近年ではフルラッピングが増えており、1台当たりの使用量が増加しています。製品認知度の向上とともに、今後さらに市場は拡大するとみられ、2026年には前年比61.9%増が予測されます。
3.太陽電池用バックシートの世界市場【エネルギー分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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5,624億円 |
140.0% |
8,854億円 |
2.2倍 |
太陽電池の背面で太陽電池内部のセルや封止剤を保護するフィルムを対象とします。
世界的な再生可能エネルギー導入推進施策を背景に太陽電池の需要が増えています。2020年から2021年にかけては中国で大規模な補助金支援政策が実行されたことにより、太陽電池の需要が大幅に増加したため、市場が急拡大しました。2022年は米国や中東エリアの非住宅向けを中心に伸びており、前年比40.0%増が見込まれます。
今後は、引き続き非住宅向けを中心とした太陽電池の伸びに伴い、市場拡大が予想されます。特に、メガソーラーなど広大な土地のある米国や中東エリアでは大規模プロジェクトが進んでいることから、2026年に向けて市場拡大が予想されます。
4.バリアコート紙の国内市場【バリアフィルム分野】
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2022年見込 |
2021年比 |
2026年予測 |
2021年比 |
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2億円 |
100.0% |
6億円 |
3.0倍 |
無機系顔料バリアコーティングと紙で構成されるバリア紙を対象とします。食品に多く採用され、コーヒーなど香りの強いものや菓子類の包装に使用されます。
脱プラスチックニーズを受けて、2020年前後からバリア包材領域における紙化が加速しており、食品包装用途を中心に需要が増えています。包装資材として紙マークを取得することが可能なことも追い風となり、市場は拡大しています。
今後も、食品メーカーを中心に、環境対応のためプラスチック素材を削減した紙マーク包材を使用する動きは増加するとみられ、市場拡大が予想されます。
【参考】本記事で使用した「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」に掲載している調査対象市場
工業・自動車分野
- 自動車用ウィンドウフィルム
- 加飾フィルム
- 転写フィルム
- ペイントプロテクションフィルム
- EV・HVモーター用絶縁フィルム
- フィルムアクチュエーター
エネルギー分野
- LiB用セパレーター
- LiB用ラミネートフィルム
- 太陽電池用封止フィルム
- 太陽電池用バックシート
- 固体電解質シート
ライフサイエンス分野
- 抗ウイルスフィルム
- 通気性フィルム
- 医薬品二次包装用フィルム
- PTPシート
- テープ剤用離型フィルム
建築・農業分野
- 建築用ウィンドウフィルム
- 調光フィルム
- 化粧シート
- ラミネート鋼板用フィルム
- 農業用マルチフィルム
- 農業用光学フィルム
容器包装分野
- 鮮度保持フィルム
- イージーピールフィルム
- 方向性フィルム
- 低吸着フィルム
- 吸湿フィルム
- 脱酸素フィルム
- モノマテリアルフィルム
バリアフィルム分野
- アルミ蒸着フィルム
- 透明蒸着フィルム
- PVDCコートフィルム
- バリアコート紙
- バリアフィルムラミネート紙
◆本記事は「2023年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。