株式会社富士経済は、EVやADAS関連機器などの自動車分野、通信基地局やサーバーなどの通信分野などで需要増加が予想されるとともに、さらなる高機能化が求められる放熱部材の世界市場を調査しました。その結果を「2023年 熱制御・放熱部材市場の現状と新用途展開」にまとめました。
この調査では、放熱部材18品目、原料となる放熱フィラー5品目、放熱部材の有望用途である製品6品目の市場を把握し、有望用途における放熱部材の要求特性、将来性などを分析しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2023年 熱制御・放熱部材市場の現状と新用途展開」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
放熱部材の世界市場
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2022年 |
2027年予測 |
2022年比 |
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TIM |
873百万ドル |
1,312百万ドル |
150.3% |
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放熱基板 |
953百万ドル |
1,719百万ドル |
180.4% |
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放熱絶縁板 |
131百万ドル |
223百万ドル |
170.2% |
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その他 |
995百万ドル |
1,104百万ドル |
111.0% |
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合 計 |
2,951百万ドル |
4,357百万ドル |
147.6% |
※市場データは四捨五入しています
Thermal Interface Material(TIM)
発熱体(半導体素子など)と放熱体(ヒートシンク、筐体など)との間に挟み熱を伝播させる放熱材料です。シート状は放熱シートが、液状は放熱ギャップフィラーが市場の中心です。自動車分野や通信分野での需要が市場をけん引しており、熱伝導率の高い製品の需要が高まっています。今後、封止材、放熱接着剤なども伸びが予想され、金属系TIMは高価なため需要は限定的ですが、ゲーム機や産業機器で採用が広がるとみられます。
放熱基板
放熱基板は自動車用パワーモジュールなどの車載電装部品、LED照明、インバーター搭載家電、工作機械、産業機器、電鉄車両など、幅広く採用されており、今後もさまざまな用途での放熱需要の高まりにより、市場拡大が予想されます。中でも窒化ケイ素ベース回路基板の伸びが期待されます。
放熱絶縁板
市場の大部分を占める窒化ケイ素白板は、自動車用パワーモジュールで採用が広がっています。放熱絶縁シートは省エネ規制によるインバーター搭載家電の増加によるパワーモジュール向けの伸びに加え、車載電装機器や産業機器での需要により、市場は毎年二桁近い伸びが続くとみられます。
その他
ベーパーチャンバーとグラファイトシートが市場の中心であり、ともにスマートフォンが主な用途です。スマートフォンでの薄型ベーパーチャンバーの採用増加に加え、大容量ベーパーチャンバーのパワー半導体、サーバーやスーパーコンピューター、車載電装機器などでの採用、グラファイトシートは単層での使用から複数枚に積層するケースが増えることで、市場は堅調な拡大が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.放熱シート【TIM】
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2022年 |
2027年予測 |
2022年比 |
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350百万ドル |
443百万ドル |
126.6% |
シリコーン樹脂などに高熱伝導性を有するフィラー(無機系粉末)を高充填したシート状の放熱材料を対象としました。シート状のため必要個所に貼り付けるだけで、塗布量などの管理が必要ない点が特徴です。
PCやスマートフォンなど最終製品の生産が停滞したため、直近では市場の伸びは鈍化していますが、今後は、自動車分野や通信分野での需要が増加し、市場拡大が続くとみられます。通信分野では通信基地局で高熱伝導率かつ高価な製品の需要が増えており、熱伝導率10W/m・Kの超高熱伝導率品の需要も旺盛です。また、自動車分野では、用途によって使い分けされており、ADAS関連機器やHUDなどでは高熱伝導率品、ECUでは中熱伝導率品、LiBでは低熱伝導率品が使用されています。
最終製品における熱対策需要の増加を背景に、高熱伝導率品の採用拡大が予想されます。また、部品の高集積化や高電圧化、高周波化などの高性能化が進んでいることから、低誘電であることも求められていくとみられます。
2.放熱ギャップフィラー【TIM】
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2022年 |
2027年予測 |
2022年比 |
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227百万ドル |
497百万ドル |
2.2倍 |
高熱伝導性フィラーを高密度に充填した液状の放熱材料です。放熱シートと比較し、端材が出ない、密着性や追従性に優れ、接触熱抵抗が低いといったメリットがあります。
LiB用途を中心に、自動車分野で採用が広がっていることから、市場が拡大しています。LiBではEV1台につき2~4リットル使用し、量が多いことから、ユーザーからのコストダウン要求が強く、価格が下落しています。しかし、EVの普及に伴い需要が増加することで、市場は大幅な拡大が予想されます。
日本では放熱シートや放熱グリースの使用が多かったですが、TIMの厚みを薄くしたい場合や熱伝導率を向上させたい場合などで放熱ギャップフィラーの使用が増えています。
3.窒化ケイ素ベース回路基板【放熱基板】
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2022年 |
2027年予測 |
2022年比 |
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181百万ドル |
635百万ドル |
3.5倍 |
窒化ケイ素(Si3N4)基材にアルミ箔や銅箔を形成した金属張積層板に、エッチングで回路パターンを形成した回路基板を対象としました。耐熱衝撃抵抗性に優れており、パワーモジュールの高出力化・小型化を可能にすることから採用が大きく広がっています。
自動車分野での伸びが市場をけん引しており、2022年は前年比74.0%増と大きく拡大しました。日本だけでなく、北米、欧州、中国での採用増加や、メーカーによる生産能力の増強もあり、2023年以降も引き続き拡大が予想されます。
設計自由度や強度の向上などを目的に窒化アルミベース回路基板からの切り替えがみられます。車載電装機器ではZDA回路基板と競合しますが、要求特性やコストなどによって、すみ分けがされています。
【参考】本記事で使用した「2023年 熱制御・放熱部材市場の現状と新用途展開」に掲載している調査対象市場
放熱部材市場編
Thermal Interface Material(TIM)
- 放熱シート
- フェイズチェンジシート
- 放熱両面テープ
- 放熱グリース
- 放熱ギャップフィラー
- 放熱接着剤
- 封止材
- 金属系TIM(液体金属、はんだTIM)
放熱絶縁板
- 窒化ケイ素白板
- 放熱絶縁シート
放熱基板
- 放熱樹脂基板
- 金属ベース回路基板
- アルミナベース・ZDA回路基板
- 窒化アルミベース回路基板
- 窒化ケイ素ベース回路基板
その他放熱部材
- グラファイトシート
- ベーパーチャンバー
- 熱伝導樹脂
放熱フィラー市場編
- 低ソーダアルミナ
- アルミナ(球状・丸み状・多面体)
- 窒化アルミ
- 窒化ホウ素
- 炭素繊維
用途市場編
- 自動車(インバーター)
- 自動車(ECU)
- 自動車(LiB)
- 自動車(ミリ波レーダー)
- スマートフォン
- 通信基地局
◆本記事は「2023年 熱制御・放熱部材市場の現状と新用途展開」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。