株式会社富士経済は、脱炭素社会の実現に向けて電動化が加速する陸海空モビリティの市場と関連するインフラ・サービス・技術を調査しました。その結果を「陸海空モビリティにおける電動化動向の現状と将来展望 2023」にまとめました。
この調査では、建設機械や自動二輪車、船舶、航空機、空飛ぶクルマなどのモビリティ15品目について、最新の市場動向や中長期的な展望、参入企業動向、電動化デバイス(蓄電池、燃料電池、モーター)をまとめました。また、モビリティの電動化に伴い市場が形成されるとみられる、インフラやサービス、関連技術についても分析しました。
※モビリティには自動四輪車は含みません。市場は生産ベースで捉えました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「陸海空モビリティにおける電動化動向の現状と将来展望 2023」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.陸海空モビリティの世界市場
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2022年 |
前年比 |
2040年予測 |
2022年比 |
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完全電動式 |
2,291万台 |
113.5% |
6,213万台 |
2.7倍 |
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ハイブリッド |
6万台 |
100.0% |
89万台 |
14.8倍 |
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非電動式 |
5,490万台 |
108.7% |
3,757万台 |
68.4% |
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合 計 |
7,787万台 |
110.0% |
1億59万台 |
129.2% |
世界的なカーボンニュートラル実現に向けた、排ガス規制などを背景に、様々な産業においてゼロエミッション化への機運が高まっています。こうした中で電動式モビリティの開発が進められており、製品の発売や関連するインフラの整備、サービスの登場で市場が活性化していくと予想されます。
2022年時点では非電動式が市場の約70%を占めていますが、排ガス規制対策として完全電動式やハイブリッド電動式が伸び、長期的には再生可能エネルギー由来電力を利用した製品が普及することが期待され、2040年には電動式モビリティが約60%に達すると予測されます。
完全電動式は2022年時点で配達・配膳ロボットで100%を占め、スローモビリティやドローンもほぼ100%です。またAGV(無人搬送車)やフォークリフトでも主流となっています。今後は非電動式が主体の建設機械や農業機械で完全電動式が増加するほか、2040年には自動二輪車で完全電動式が50%以上になるとみられます。これから市場が立ち上がる空飛ぶクルマも完全電動式が主流になります。
ハイブリッド電動式は2025年以降、外航船や内航船で採用が増えると予想されます。特に外航船は航続距離が長いことから燃料電池と二次電池の併載やカーボンニュートラル燃料を活用する動きが活発です。
非電動式は電動化が加速することで減少していきますが、航空機ではエネルギー密度の課題や高コストであることからは電動式は限定的になるとみられ、ゼロエミッション化はバイオジェット燃料などのSAF(持続可能な航空燃料)の利用が主流になると予想されます。
2.電動化関連デバイスの世界市場
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2022年 |
前年比 |
2040年予測 |
2022年比 |
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3兆172億円 |
117.9% |
13兆2,183億円 |
4.4倍 |
LiB(リチウムイオン二次電池)、鉛電池、EDLC(電気二重層キャパシタ)、LiC(リチウムイオンキャパシタ)、次世代電池、燃料電池、その他発電デバイス、駆動用モーターを対象としています。モビリティの電動化に伴ってLiBを中心に各デバイスが伸び、2040年の市場は13兆2,183億円が予測されます。
LiBは各種モビリティの蓄電デバイスとして採用され、長寿命性やEV用からの転用でコスト低減を図れる点などが評価されています。モビリティによっては一層の低コスト化や航続距離の延伸に向けたエネルギー密度の向上が求められています。2022年時点ではフォークリフトや自動二輪車での採用が主体であり、今後は電動化の進展により建設機械や農業機械への採用が大きく増えるとみられます。
次世代電池は2025年以降自動二輪車やドローンで採用が始まり、エネルギー密度の向上やレアアースフリーを実現することで需要を獲得していくとみられます。その後は空飛ぶクルマや航空機、将来的には船舶へも搭載されると予想されます。
燃料電池は出力の高さに加え、既に採用事例があり信頼性が高いことから今後も採用が増えていくとみられます。フォークリフトなどで実用化に至っており、鉄道車両でもディーゼルエンジン式車両の脱炭素化に向けて導入されるハイブリッド電動式車両で採用が開始されています。また船舶では燃料電池で発電した電力を併載したLiBで蓄電する形態が主流になるとみられます。物流向けのドローンなどではLiBと比較して航続距離を伸ばしやすいことが魅力であり、採用が期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.空飛ぶクルマ(フライングカー、eVTOL)
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2022年 |
前年比 |
2040年予測 |
2022年比 |
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- |
- |
4万機 |
- |
エアタクシーやホバーカーとも呼ばれる航空輸送機のうち、ビジネスジェットやヘリコプターなどよりも少人数、低高度、短距離の移動に利用されるモビリティを対象とします。VTOLと呼ばれる垂直離着陸機を中心に開発が進められ、旅客輸送や無人物流などへの展開が期待されています。
現在は試験飛行機による認証取得活動が行われており、2025年ごろから商用利用が開始され、完全電動式とハイブリッド電動式での展開が予想されます。災害支援や遊覧飛行におけるヘリコプターの代替需要などにより市場が形成され、中期的には地方における人員輸送や物流、長期的には都市部におけるタクシー代替などのオンデマンド運航やオンデマンド物流などへ利用が広がっていくと予想されます。日本では陸上インフラの交通量が多いことから、時短が求められる旅客や物流の潜在ニーズが大きいとみられます。
2.スローモビリティ(シニアカー、電動キックボード、ゴルフカート)
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2022年 |
前年比 |
2040年予測 |
2022年比 |
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全 体 |
200万台 |
111.7% |
596万台 |
3.0倍 |
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電動キックボード |
142万台 |
115.4% |
495万台 |
3.5倍 |
※電動キックボードは全体の内数です
電動キックボードのシェアリングサービスが世界的に急速に普及したことで市場は大きく伸びています。またシニアカーは高齢者人口の増加で需要が高まるとみられ、ゴルフカートは先進国での女性や若年層、新興国の富裕層や高齢者へのゴルフ人口の増加により、拡大が予想されます。
2022年時点で電動化率は95%を超えており、2040年には98%以上が電動化されると予想されます。アメリカなど一部地域の広く勾配の強いゴルフ場では、非電動ゴルフカートが利用されています。
日本では電動キックボードは道路交通法により原動機付自転車に区分され、第一種原動機付自転車または第二種原動機付自転車の免許が必要でしたが、2023年7月より改正法が施行され、一定の要件を満たす電動キックボード等は、特定小型原動機付自転車として、走行場所が自転車と同様になるなどの新たな交通ルールが適用されました。今後はシェアリングサービスを中心に需要が高まり、成長が期待されます。
3.バッテリースワップサービス(バッテリーシェアリング)
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2022年 |
前年比 |
2040年予測 |
2022年比 |
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557億円 |
161.9% |
1兆1,005億円 |
19.8倍 |
主に二次電池で駆動する完全電動式モビリティで、使用済み電池と充電済み電池を交換するサービスです。ユーザーは交換電池スポットでの電池交換により短時間でエネルギー充填が可能となります。市場は電池交換サービス費用から算出しました。
現在、自動二輪車への導入が先行しており、交通手段として小型自動二輪車が広く普及している中国やASEAN・東アジアにおいて電動化が顕著に進んでいることから、中国のChina Towerや台湾のGogoroなどの事業者を中心に台湾、中国、インドネシア、インドなどにおいて市場が形成されています。交換電池スポットの増加によって、航続距離の課題解消に繋がるとみられます。
日本では2022年にENEOS、本田技研工業、川崎重工業、スズキ、ヤマハ発動機によってバッテリースワップ事業を展開するGachacoが設立されました。短期的には法人利用を中心としたサービスが想定されますが、大手二輪車メーカーが個人向けの完全電動式自動二輪車の販売を強化すると想定され、それに伴って市場が拡大していくとみられます。自動二輪車向けサービスの普及に伴い、シニアカーなどのスローモビリティへの利用も予想されます。
【参考】本記事で使用した「陸海空モビリティにおける電動化動向の現状と将来展望 2023」に掲載している調査対象市場
モビリティ
陸用モビリティ
- AGV
- フォークリフト
- 建設機械
- 農業機械
- 鉱山機械
- 鉄道車両
- 配膳・配達ロボット
- スローモビリティ(シニアカー、電動キックボード、ゴルフカート)
- 自動二輪車
海用モビリティ
- 外航船
- 内航船
- 船外機
空用モビリティ
- 航空機(民間旅客機・民間貨物機)
- 空飛ぶクルマ(フライングカー、eVTOL)
- ドローン
電動化関連デバイス
蓄電デバイス
- LiB、鉛電池、EDLC、LiC、次世代電池
発電デバイス
- 燃料電池、その他発電デバイス
駆動用モーター
- 駆動用モーター
電動化インフラ・サービス・関連技術
電動化インフラ
- 自動二輪車・スローモビリティ用充電サービス
- バッテリースワップサービス(バッテリーシェアリング)
- 舶用充電サービス
- 水素供給サービス
電動化サービス
- バッテリーリース
- 遠隔監視(バッテリー監視/劣化診断)
- エネルギーマネジメント活用サービス
- CO2排出量算定サービス
電動化関連技術
- ワイヤレス給電(電磁誘導/電界結合/空間伝送)
- 超急速充電技術
◆本記事は「陸海空モビリティにおける電動化動向の現状と将来展望 2023」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。