株式会社富士経済は、塗料・コーティングや粘・接着剤、インキ、また、半導体や電子基板などの原材料として、環境に配慮した製品や高機能製品の開発が進められている高機能液状樹脂の世界市場を調査しました。その結果を「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」にまとめました。
この調査では、電材用樹脂7品目、機能性樹脂11品目、石油樹脂5品目、水系・天然樹脂6品目の計29品目の樹脂に加え、樹脂の物性を変化させる硬化剤4品目、添加剤5品目の市場を調査・分析し、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
高機能液状樹脂の世界市場
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2023年見込 |
2022年比 |
2027年予測 |
2022年比 |
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電材用樹脂 |
5,043百万ドル |
72.2% |
7,286百万ドル |
104.3% |
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機能性樹脂 |
12,573百万ドル |
105.1% |
14,308百万ドル |
119.7% |
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石油樹脂 |
2,749百万ドル |
102.1% |
3,160百万ドル |
117.4% |
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水系・ |
9,514百万ドル |
88.4% |
10,747百万ドル |
99.9% |
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硬化剤 |
2,140百万ドル |
100.9% |
2,381百万ドル |
112.3% |
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合 計 |
32,019百万ドル |
92.8% |
37,881百万ドル |
109.7% |
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数量合計 |
1,082万トン |
102.1% |
1,216万トン |
114.7% |
※重複を避けるため、添加剤は市場に含みません
※市場データは四捨五入しています
2023年の市場は、自動車の電装品や電池に関連する樹脂については好調です。しかし、民生用の電気・電子機器の在庫調整が長引いている影響から電材用樹脂、硬化剤が減少しており、機能性樹脂や石油樹脂、水系・天然樹脂は中国の景気回復の遅れを受けて低迷しています。そのため、数量ベースでは緩やかな伸びが予想されます。一方、2022年に価格が高騰したLiBバインダー用樹脂やリジッド基板用樹脂、ロジンの原材料価格が2023年には大幅に低下しているため、市場は縮小するとみられます。
長期的にはアジア地域を中心とした新興国での経済成長や人口増加、環境意識の高まりを背景とした塗料や粘接着剤など液状樹脂製品の伸びにより、機能性樹脂や石油樹脂、水系・天然樹脂で安定した需要が予想されます。また、電材用樹脂の需要回復が期待されることから、数量、金額ともに伸びるとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.LiBバインダー用樹脂【電材用樹脂】
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2023年見込 |
2022年比 |
2027年予測 |
2022年比 |
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1,915百万ドル |
57.9% |
3,547百万ドル |
107.3% |
リチウムイオン二次電池(LiB)の正極材、負極材のバインダーに用いられる樹脂、ゴムを対象とします。
正極材向けバインダー用樹脂では耐酸化性に優れるポリフッ化ビニリデン(PVDF)が主流です。しかし、PVDFを溶液化する際に用いられるN-メチル-2-ピロリドンの環境負荷が高いこともあり、今後を見据えてアクリルエマルジョンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パウダーの採用が始まっています。
負極材向けバインダー用樹脂ではスチレン・ブタジエンゴム(SBR)ラテックスと、分散剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)の組み合わせが主流であり、一部では、SBRラテックスの代わりにアクリルエマルジョンも採用されています。
EVやPHVの生産台数の増加により車載用LiBの需要が増えており、数量ベースでは拡大が予想されます。一方、2022年の上半期にPVDFの原材料の供給不足を受けて正極材向けバインダー用樹脂の価格が高騰しましたが、2023年には以前の価格水準に戻りつつあることから、市場は大幅に縮小するとみられます。2024年以降は順調な市場拡大が予想されます。特に、樹脂使用量の多いリチウムリン酸鉄(LFP)系正極材がEVのエントリーモデルでの採用が急増しており、今後の市場拡大をけん引していくとみられます。
2.石油樹脂(C5C9共重合)【石油樹脂】
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2023年見込 |
2022年比 |
2027年予測 |
2022年比 |
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285百万ドル |
100.4% |
330百万ドル |
116.2% |
C5系石油樹脂とC9系石油樹脂をカチオン重合によりオリゴマー化した熱可塑性樹脂です。主にタイヤ改質や粘着剤、ホットメルト接着剤などで使用されます。
タイヤのグリップ力や耐久性の向上を目的に添加されることが多いです。EVはガソリン車と比較し車重が増加するため、低燃費、耐摩耗など高性能タイヤのニーズが増しており、市場が拡大しています。
タイヤに求められる特性として転がり抵抗、耐摩耗、ウェットグリップが挙げられますが、トレードオフの関係にあるウェットグリップ性能と転がり抵抗性能を両立できるような開発が進められています。今後もエコタイヤやEV向けタイヤなどを中心に市場の拡大が予想されます。
3.ポリウレタンディスパージョン【水系・天然樹脂】
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2023年見込 |
2022年比 |
2027年予測 |
2022年比 |
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1,049百万ドル |
97.7% |
1,214百万ドル |
113.0% |
ウレタン微粒子が水に分散している製品であり、水系ウレタン樹脂ともよばれます。低VOC(揮発性有機化合物)や脱溶剤のニーズが増加している接着剤、塗料・コーティング剤をはじめ、幅広い用途で使用されています。
市場は各国の景気動向と連動する傾向にあり、2023年は、需要規模の大きい中国の景気回復の遅れにより一時的に低迷しています。地域別には、溶剤に関する法規制がある中国が今後も市場をけん引するとみられます。また、環境意識の高い欧州の需要が中国に次いで多いです。
今後は、企業が商品のラベルやタグなどで環境対応をPRできることから、消費財でのニーズの増加が想定されるほか、靴用接着剤や繊維、合成皮革などでの需要増加が期待されます。
4.ポリウレア【機能性樹脂】
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2023年見込 |
2022年比 |
2027年予測 |
2022年比 |
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2,600百万ドル |
108.3% |
3,080百万ドル |
128.3% |
防水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性、防食性に優れたポリマーです。土木・建築分野において初期コーティングおよび補修・メンテナンスコーティング剤として、コンクリートのひび割れ補修、ピックアップトラック荷台の保護などに使用されています。
地域別では、北米、欧州における需要が中心であり、日本では上下水道関連施設で需要があります。競合となるポリウレタンと比較して高価格であるためアジア地域では需要が限られますが、環境に優しい低VOC塗料として置き換えが進み、市場拡大が期待されます。
5.フォトレジスト用樹脂【電材用樹脂】
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2023年見込 |
2022年比 |
2027年予測 |
2022年比 |
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288百万ドル |
101.4% |
350百万ドル |
123.2% |
半導体デバイス、液晶、有機ELの回路形成時に用いられているフォトレジストの主成分となる樹脂とゴムを対象とします。
半導体向けとディスプレイ向けに分けられ、金額ベースでは半導体向けの比率が高いです。フォトレジストの需要が堅調であることや、先端ラインでの露光工程の増加などから、半導体向けが市場をけん引しています。今後も、通信量の増加や自動車の自動運転化などで半導体需要の大幅な増加が予想され、2027年の市場は、350百万ドルが予測されます。
フォトレジストの種類ごとに使用される樹脂が異なり、ディスプレイ向けとg線・i線用ではフェノール樹脂、KrF用とEUV用ではスチレン樹脂、ArF用ではアクリル樹脂が主流です。数量ベースではフェノール樹脂が多いです。スチレン樹脂はKrFでの厚膜塗布による樹脂配合率の上昇やEUVの採用の広がりなどから増加していくとみられます。また、アクリル樹脂は半導体需要の拡大とともに増加していきますが、先端ラインでのArFからEUVへの移行により増加ペースは鈍化するとみられます。
【参考】本記事で使用した「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」に掲載している調査対象市場
電材用樹脂
- リジッド基板用樹脂
- フレキシブル基板用樹脂
- 半導体封止・接着用樹脂
- フォトレジスト用樹脂
- 半導体バッファーコート・再配線用樹脂
- LiBバインダー用樹脂
- 熱伝導性材料用樹脂
機能性樹脂
- 脂環式エポキシ
- ジアリルフタレート樹脂
- ポリウレア
- 変成シリコーン樹脂
- ベンゾオキサジン
- 塩化ビニルペースト
- 共重合ポリエステル
- アルキルフェノール樹脂
- 低分子量ポリイソブチレン
- 中・高分子量ポリイソブチレン
- 液状ポリブタジエン
石油樹脂
- 石油樹脂(C5)
- 石油樹脂(C9)
- 石油樹脂(C5C9共重合)
- 石油樹脂(DCPD)
- 水添石油樹脂
水系・天然樹脂
- アクリルエマルジョン/アクリル・スチレンエマルジョン
- PO系ディスパージョン
- ポリウレタンディスパージョン
- PTFEディスパージョン
- ロジン
- テルペン樹脂
硬化剤
- 硬化剤(アミン系)
- 硬化剤(酸無水物)
- 硬化剤(フェノール)
- 潜在性硬化剤
添加剤
- 水系樹脂用乳化剤
- 分散剤
- 消泡剤
- 水系樹脂用架橋剤
- シランカップリング剤
◆本記事は「高機能液状樹脂製品関連市場の現状と将来展望 2023」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。