株式会社富士経済は、目覚ましい技術革新に加え、法整備とともに市場の立ち上がりが本格化しつつある医療AIや医療ビッグデータ関連のシステムやサービスの市場を調査しました。その結果を「2022年 医療AI・医療ビッグデータ関連市場の現状と将来展望」にまとめました。
この調査では、医療ビッグデータ分析サービス4品目、AI活用型画像診断システム5品目、AI/医療情報総合活用型システム4品目、デジタル治療システム2品目、遠隔/IoT活用支援システム3品目、創薬支援システム1品目、医薬品開発支援システム8品目、医療向けプロモーション支援サービス9品目を対象に市場の将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2022年 医療AI・医療ビッグデータ関連市場の現状と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
医療ビッグデータビジネス関連の国内市場
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2022年見込 |
2021年比 |
2035年予測 |
2021年比 |
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医療ビッグデータ |
350億円 |
112.5% |
746億円 |
2.4倍 |
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AI活用型画像 |
9億円 |
150.0% |
110億円 |
18.3倍 |
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AI/医療情報総合 |
21億円 |
150.0% |
454億円 |
32.4倍 |
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デジタル治療 |
3億円 |
3.0倍 |
2,863億円 |
2,863.0倍 |
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遠隔/IoT活用 |
64億円 |
120.8% |
168億円 |
3.2倍 |
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創薬支援 |
185億円 |
103.9% |
300億円 |
168.5% |
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医薬品開発 |
248億円 |
109.3% |
281億円 |
123.8% |
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医療向けプロモー |
1,412億円 |
113.1% |
2,271億円 |
182.0% |
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合 計 |
2,291億円 |
112.4% |
7,191億円 |
3.5倍 |
※市場データは四捨五入しています
医療ビッグデータ分析サービス市場は、医療関連業界向け医療ビッグデータ分析と保険者向けデータ分析が大きく伸びています。主要ユーザーである大手製薬企業に加え、生命保険や損害保険会社、金融機関など多様な業種で医療ビッグデータの活用が始まっています。
今後は、医療ビッグデータの利活用に関する環境整備が進み、データベースの充実化や利活用を促す政策によって市場が拡大するとみられます。
AI活用型画像診断システム市場は、2019年から2020年に市場が立ち上がったシステムが多く、2022年の市場は前年比50.0%増の9億円が見込まれます。
今後は、がん診断をはじめとして最も利用範囲が広いと考えられる病理画像診断システムが、法整備や保険点数の改定により伸びるとみられます。また、診断のために撮影される胸部X線画像は枚数が多く、人的診断には限界がありましたが、AIを活用することで効率的に処理できるため導入が増え、市場拡大に寄与すると予想されます。
AI/医療情報総合活用型システム市場では、世界的なゲノムプロジェクトの件数増加に伴って、ゲノム医療支援システム/サービスが伸びています。また、AI活用型精神疾患診断支援システムは、センサーを使用して多様なデータを取得するセンシング技術の向上により、取得したデータを精神疾患の診断に結びつけられるとして注目が集まっています。
今後は、センシングやAIの技術革新と非専門医による診断ニーズの増加などで導入が進み、AI活用型精神疾患診断支援システムが急伸するほか、ゲノム医療支援システム/サービスはAIによって膨大な情報量を効率的に分析できるため需要が増加し、引き続き伸長すると予想されます。
デジタル治療システム市場は、立ち上がったばかりであり、VRデジタルセラピューティクス(DTx)が不安障害への曝露療法に対する活用が始まっています。
DTxは、スタートアップ企業を中心に参入が増えており、ソーシャルスキルトレーニングやリハビリテーションなど医療や介護分野で伸びるとみられます。また、治療用アプリ(管理・モニタリング)は大手製薬企業や大手医療機器メーカーも開発を進めており、企業が多岐にわたる疾患向けアプリの投入により急伸するとみられ、2035年の市場は、2021年比2,863.0倍が予測されます。
遠隔/IoT活用支援システム市場では、身体に貼付した小型センサーで持続的にグルコース値を測定するCGM(持続血糖測定)とFGM(フラッシュグルコースモニタリング)が中心です。新型コロナの流行に伴い、対面診療が減少し、オンライン診療時の判断材料の一つとして長期的なグルコース値のモニタリングデータが活用されています。2022年は診療報酬の改定でFGMがインスリン療法の全患者に適用されたため、市場拡大が予想されます。
CGM/FGMやカプセル内視鏡、IoT聴診器は、従来機器と競合関係にあり、いかにデジタルのメリットを打ち出せるかがキーポイントです。診療報酬の改定に伴ってCGM/FGMの普及が進み、導入施設数の増加が期待されることから、CGM/FGMの伸びが市場をけん引していくとみられます。
創薬支援システム市場は、コンピューター上で医薬品の設計、薬効および副作用の解析・予測を行うインシリコ創薬・創薬支援システム(AI創薬含む)を対象とします。システムを使いこなせる研究者が少ないため、受託サービスの需要が高まっています。政府が医療ビッグデータやAIを用いた創薬に対する支援を強めており、研究成果が製品に実装されるケースも増えていることから、市場は堅調に拡大しています。
AIを活用した製品はそれぞれアルゴリズムが異なるため、競合が起きづらく、各国アカデミアや開発企業による新製品の投入が活発であることから、今後も市場は拡大するとみられます。
医薬品開発支援システム市場は、2020年に新型コロナの影響で臨床試験の減少で縮小しましたが、2021年以降臨床試験数が増加しており、2022年は臨床試験支援システムやEDCシステムが伸びていることから、248億円が見込まれます。
長期的には、医療ビッグデータ活用開発支援サービスを始めとする新規ビジネスの拡充によって、その他開発支援システム/サービスが伸びるとみられます。
医療向けプロモーション支援サービス市場では、医療向けe-プロモーションやドクター向けポータルサイト/SNS、Web講演会サービスが伸びており、2022年は1,412億円が見込まれます。
今後もサービスの拡充や新薬企業を中心としたWebマーケティングの需要増加を受けて伸長し、2035年の市場は2021年比82.0%増の2,271億円が予測されます。
◆注目個別市場サマリー
1.ゲノム医療支援システム/サービス【AI/医療情報総合活用型システム】
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2022年見込 |
2021年比 |
2035年予測 |
2021年比 |
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17億円 |
154.5% |
80億円 |
7.3倍 |
患者に合わせた個別化医療としてがん細胞の性質を検査するがんクリニカルシーケンスにおいて、データ解析やアノテーション(臨床的意義付け)、エキスパートパネル支援(医師支援システム)などを行う専用システム/サービスを対象とします。
2019年に、遺伝子パネル検査が保険適用され、市場が本格的に立ち上がりました。2021年は、血液から最適な抗がん剤を選択する検査(リキッドバイオプシー)が保険適用されたことを受け、市場が拡大しています。
現在、世界的にゲノムプロジェクトが進んでおり、今後10年でゲノム分野における技術進歩や社会実装が加速するとみられます。従来、ゲノム解析はコストが高く、分析・解析の時間もかかっていましたが、ゲノム医療支援システム/サービスの普及で、コストの大幅な削減や、分析・解析の時間短縮が可能になるとみられます。また、保険適用範囲や点数の改定、法改正などによりさらに普及が進むとみられることから、2035年の市場は2021年比7.3倍が予測されます。
2.治療用アプリ(管理・モニタリング)【デジタル治療システム】
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2022年見込 |
2021年比 |
2035年予測 |
2021年比 |
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2億円 |
2.0倍 |
2,850億円 |
2,850.0倍 |
スマートフォンやウェアラブルデバイスなどから得た個人の健康情報を、医学的知見を搭載したアルゴリズムで解析し、治療へ向けたガイダンスを行う製品のうち、保険適用されたものを対象とします。
2020年に、禁煙治療プログラムを提供する「CureApp SC」(CureApp)が医療機器として承認され、市場が立ち上がりました。5~6年で開発から製品化が可能であり、医薬品開発期間の半分程度の期間で済むことや、開発費が抑えられることから、製薬企業が本格的に参入しており、2022年の市場は前年比2.0倍が見込まれます。
今後、高血圧症や糖尿病など処方が長期にわたる疾患で採用が進むとみられるほか、不眠症や小児ADHDなど対応疾患も増えることで市場拡大するとみられます。
3.医療向けe-プロモーション【医療向けプロモーション支援サービス】
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2022年見込 |
2021年比 |
2035年予測 |
2021年比 |
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610億円 |
116.0% |
1,000億円 |
190.1% |
医薬品や疾患情報の提供など、製薬企業のMRがインターネットを活用して行うプロモーションを支援するサービスを対象とします。なお、歯科領域をメインとするサービスは対象外とします。
現在、製薬企業のプロモーションは、Webを活用したマーケティングの重要性が増しており、継続利用が多数を占めています。医療機関での働き方改革や感染対策に伴う面会時間の制約や新型コロナ感染予防による訪問規制などを受け、需要はさらに増加しており、2022年の市場は前年比16.0%増の610億円が見込まれます。
引き続き、MRによるITを活用した情報提供が浸透し、継続利用や利用頻度が向上することで、2035年の市場は2021年比90.1%増の1,000億円が予測されます。
4.Web講演会サービス【医療向けプロモーション支援サービス】
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2022年見込 |
2021年比 |
2035年予測 |
2021年比 |
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188億円 |
116.0% |
192億円 |
118.5% |
治療法や医薬品などの医療情報に関するWeb講演会の企画・運営やコンテンツを作成・配信するサービスを対象とします。
新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年にリアル講演からWeb講演に切り替わったことで、市場は拡大しています。また、近年では製薬企業の支店が企画する地域限定などの中・小規模なWeb講演の需要が高まっており、これらに対応したサービスプランの新設・強化を行う動きがみられます。
新型コロナ終息後も、Web講演とリアル講演を講演内容や規模に合わせて選択、併用していくとみられ、今後も堅調な需要を確保すると予想されます。
【参考】本記事で使用した「2022年 医療AI・医療ビッグデータ関連市場の現状と将来展望」に掲載している調査対象市場
医療ビッグデータ分析サービス
- 医療関連業界向け医療ビッグデータ分析
- 病院向けDPCデータウェアハウス・病院経営分析サービス
- 保険者向けデータ分析
- 医用画像プラットフォームサービス
AI活用型画像診断システム
- 病理画像診断システム
- 内視鏡画像診断システム
- 頭部・脳画像診断システム
- 胸部画像診断システム
- 眼底画像診断システム
AI/医療情報総合活用型システム
- AI活用型精神疾患診断支援システム
- AI活用型自動問診システム/診断bot
- AI活用型心血管イベントリスク予測システム
- ゲノム医療支援システム/サービス
デジタル治療システム
- 治療用アプリ(管理・モニタリング)
- VRデジタルセラピューティクス(DTx)(医療・介護向けデジタルゲーミフィケーションを含む)
遠隔/IoT活用支援システム
- CGM(持続血糖測定)/FGM(フラッシュグルコースモニタリング)
- カプセル内視鏡
- IoT聴診器
創薬支援システム
- インシリコ創薬・創薬支援システム(AI創薬含む)
医薬品開発支援システム
- 臨床試験支援システム
- EDCシステム
- 電子的原データ収集システム(eSource)
- 被験者日誌システム(ePRO)
- リモートSDVシステム
- 安全性情報管理システム
- 製造販売後調査支援システム
- その他開発支援システム/サービス(医療ビッグデータ活用開発支援サービス、バーチャル治験システム/サービス含む)
医療向けプロモーション支援サービス
- 医療向けe-プロモーション
- ドクター向けポータルサイト/SNS
- Web講演会サービス
- 製薬企業向け営業支援システム
- ディテール支援システム
- リモートディテール支援システム
- 医師・薬剤師データベース
- 製薬企業向けコールセンター/問い合わせ支援システム
- 医薬品流通データサービス
◆本記事は「2022年 医療AI・医療ビッグデータ関連市場の現状と将来展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。