株式会社富士キメラ総研は、2022年以降のTV、PCモニター、ノートPCなどの需要減少を受けて、パネルメーカーや材料メーカーでは不採算分野からの撤退、事業・拠点の再編が加速するとともに、技術開発の焦点がLCDからAMOLEDやマイクロLEDにシフトが進む、ディスプレイデバイスの世界市場について調査しました。その結果を「2022 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」にまとめました。
この調査では、大型・中小型TFT、大型・中小型AMOLED、マイクロOLED・LCDなどのディスプレイデバイスの最新市場動向を調査し、将来を予想した。加えて、それらを構成する部品材料や関連するアプリケーション機器の市場についても捉えました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2022 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.ディスプレイデバイスの世界市場
大型TFTは2021年に好調だったPCモニター、ノートPC、タブレット端末の需要が減少するほか、パネルの価格の下落が予想され、2022年の市場は大幅に縮小するとみられます。2023年以降は主要用途であるPCモニター、ノートPC、タブレット端末の需要は減少するため、市場は縮小が予想されます。
中小型TFTは主要用途のスマートフォンにおいてAMOLEDへの切り替えが進んでいるため、2022年もスマートフォン向けは減少するとみられます。一方で、高付加価値の曲面ディスプレイが採用される車載ディスプレイ向けが車へのディスプレイ搭載率の上昇により堅調に伸びて、市場をけん引するとみられます。高精細パネルを用いるヘッドマウントディスプレイ向けも伸びるとみられます。
大型AMOLEDはTV向けのW-OLEDを中心に市場が形成されています。2021年に好調だったW-OLEDが中国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で広州ラインからの出荷が停滞し、伸び悩んでいますが、2021年末から生産を開始したQD-OLEDが2022年にTVやPCモニター向けで発売するとみられ、市場は拡大が予想されます。しかし、パネルコストが高い点などから、2023年以降は緩やかに拡大していくとみられます。コストダウンの取り組みとして、CF基板用のガラスをなくしてOLEDの封止膜上にCFを形成する技術や、次世代技術としてナノロッドLEDをインク化して塗布形成するQNED(Quantum dot Nano rod LED)の開発などを行っています。IJ-OLEDは、現在PCモニター向けのみの展開ですが、2024年以降TV向けの生産が始まると予想されます。
中小型AMOLEDはスマートフォン需要の停滞により、市場成長は鈍化すると予想されます。スマートフォンは買い替えサイクルが長期化しており、今後もハイエンド製品は横ばいで推移するとみられるため、AMOLEDの採用ペースも鈍化すると予想されます。一方で、ノートPCやタブレットなどIT向けのAMOLEDが注目されており、Samsung Displayを中心に製品展開が行われ、G8.5ラインの投資を行う方針です。G8.5ラインでのOLED生産は2024年から2025年に始まり、市場は拡大すると予想されます。
マイクロOLED・マイクロLCDは、デジタルスチルカメラの電子ビューファインダー(EVF)やヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートグラスに採用されています。スマートグラスは、遠隔作業支援などBtoB向けを中心に需要増加が続いているほか、2024年には大手ITベンダーや大手スマートフォンベンダーが新規参入することから、BtoC用途が開拓され市場は大幅に拡大すると予想されます。BtoC 向けにおいては、屋外使用が想定されることから、高輝度化の要求も高まり、マイクロLEDの採用が増加するとみられます。
2.ディスプレイ関連部品材料の世界市場
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2022年見込 |
2027年予測 |
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LCD・OLED |
1兆702億円 |
1兆1,604億円 |
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LCD関連部材 |
1兆5,926億円 |
1兆6,383億円 |
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OLED関連部材 |
3,117億円 |
4,446億円 |
LCD・OLED共通関連部材は大型アプリケーションの需要減少を背景にTFT LCD市場が縮小するため、需要は減りますが、為替の影響からプラスになるとみられます。
LCD関連部材は大型TFT LCD市場の縮小により、需要が低迷するとみられますが、2022年の市場は為替の影響によりプラスになると予想されます。
OLED関連部材はフォルダブル用カバー材料、フォルダブル/プラスチックAMOLEDに関わるY-OCTA用オーバーコート剤、TFT基板用PIワニス、QD-OLED向けのQDインクなど今後成長が期待されるデバイス技術向けの材料が拡大するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.TFT基板用PIワニス
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2022年見込 |
2027年予測 |
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102億円 |
248億円 |
プラスチックAMOLEDのTFT基板に使用される熱硬化性ポリイミド(PI)のワニスを対象としました。
プラスチックAMOLEDの市場と連動しており、面積ベースのウェイトが高いスマートフォン向けプラスチックAMOLEDの需要増加とともに、市場が拡大しています。
2022年の市場は拡大するとみられますが、「iPhone」の需要が半導体不足などを背景に落ち着くほか、中国における新型コロナ流行の影響で、中国のスマートフォン需要が停滞していることなどから、数量ベースの伸びは緩やかになるとみられます。
TFT基板用PIでは、有色PIが主流となっています。一方、インカメラ用のパンチホールやノッチ加工をなくし、完全なフルスクリーンディスプレイを実現する「UDC(Under Display Camera)」の開発が行われており、透明PIを用いたパネル開発が行われています。プラスチックAMOLEDにおけるUDC向けの技術として高単価な透明PIの採用が広がるとみられ、市場は拡大が予想されます。
2.QDインク
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2022年見込 |
2027年予測 |
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196億円 |
311億円 |
QD材料を樹脂に分散してインクジェットプロセスに適用させた材料を対象としました。
Samsung DisplayがQD-CFにインクジェットプロセスを採用したQD-OLEDの量産を2021年に開始したことで市場が立ち上がりました。
2022年時点では、ソニーとSamsung El.の55インチ、65インチのTVやDellの34インチモニターなどに採用されており、Samsung DisplayがQD-OLEDの生産を増やしていることから、市場は大幅に拡大するとみられます。
Samsungグループでは、Samsung DisplayがQD-OLEDとその次世代技術であるQNEDを開発しており、Samsung El.でマイクロLEDの開発を行っています。Samsung DisplayのQNEDとSamsung El.の青色LEDとQD-CFを用いる方式のマイクロLEDは、青色 LEDとQD-CFを使う点で原理的には同じですが、コストダウンにはLEDのサイズが小さいQNEDが向いています。しかし、製造難易度としてはQNEDの方が高く、各技術の成熟度やコストダウンの程度に応じて最終製品のターゲットと採用技術を決定すると予想されます。
【参考】本記事で使用した「2022 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」に掲載している調査対象市場
ディスプレイデバイス
- 大型TFT
- 中小型TFT
- 大型AMOLED
- 中小型AMOLED
- マイクロOLED・マイクロLCD
- オン・インセルタッチパネル
アプリケーション機器
- TV
- PCモニター・AIO
- ノートPC
- スマートフォン
- ヘッドマウントディスプレイ
- スマートグラス
- 車載ディスプレイ
- タブレット
- スマートウォッチ・ヘルスケアバンド
- ゲーム機
- パブリック・サイネージモニター
- 医療用モニター
- カラーマネジメントモニター
- 放送局用モニター
- フィーチャーフォン
- DPF・ポータブルDVD
- DSC
- DVC
- PND
- MFP
- ポータブルオーディオ
- 産業用・汎用ディスプレイ
ディスプレイ関連部品材料
LCD・OLED共通関連部材
- ガラス基板
- カラーレジスト
- ブラックレジスト・ブラックカラムスペーサー
- 表面処理フィルム
- ACF
LCD関連部材
- 配向膜材料
- 液晶材料
- シール剤
- 偏光板
- 偏光板保護フィルム・位相差フィルム
- QDシート・QD拡散板
- 拡散シート
- 拡散ビーズ
OLED関連部材
- フォルダブル用カバー材料(透明PIフィルム・フレキシブルガラス)
- 円偏光板
- 円偏光板保護フィルム・位相差フィルム
- Y-OCTA用オーバーコート剤
- OLED用封止材
- OLED用バンク材・平坦化材料
- TFT基板用PIワニス
- 蒸着型発光材料
- 塗布型発光材料
- QDインク
タッチパネルおよび関連部材
- 静電容量式車載タッチパネル
- 車載カバーガラス
- メタルメッシュフィルム
- OCA
- OCR
◆本記事は「2022 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。