株式会社富士経済は、CO2排出量削減を目的にEVの普及率が高まっている中、電費(エネルギー消費量)の低減や航続距離の延伸などの課題解決だけではなく、将来的には省スペース化・軽量化やコスト低減、エネルギー効率の向上などが期待できることから、注目されるEVサーマルマネジメント製品・システム・部材の世界市場について調査しました。その結果を「2022年 EVサーマルマネジメントと構成部材市場の将来展望」にまとめました。
この調査では、EV向けのサーマルマネジメントシステム3品目、冷却・加温部材13品目、放熱材6品目、断熱材・遮熱材・蓄熱材5品目の市場動向と開発動向を調査し、全体像を明らかにしました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2022年 EVサーマルマネジメントと構成部材市場の将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
EV向けサーマルマネジメント製品・システム・部材の世界市場
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2021年 |
2026年予測 |
2021年比 |
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システム |
4,027百万ドル |
16,982百万ドル |
4.2倍 |
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冷却・ |
3,879百万ドル |
16,167百万ドル |
4.2倍 |
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放熱材 |
600百万ドル |
1,453百万ドル |
2.4倍 |
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断熱材 |
78百万ドル |
332百万ドル |
4.3倍 |
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合 計 |
8,584百万ドル |
34,934百万ドル |
4.1倍 |
システム市場では、バッテリー冷却システムは現時点で水冷方式の採用が中心ですが、今後は冷媒直冷方式も高機能冷却システムの需要増加に伴い、増えると予想されます。エアコンシステムは従来、PTCヒーターが多く搭載されていましたが、電費向上を目的にヒートポンプを搭載する車種が増加するため、今後はヒートポンプが主流になるとみられます。モーター・PCUの冷却システムは、サーマルマネジメントシステムの熱設計の共通化などから、水冷システムを中心に需要が増加するとみられます。また、冷却回路の簡素化のため、モーターやインバーターにギアボックスなどが一体化した電動駆動モジュール「eAxle」の搭載率も上昇すると予想されます。
冷却・加温部材市場では、リチウムイオン二次電池(LiB)パックの軽量化や耐熱性の向上などを背景にバッテリーカバーや冷却配管の樹脂化が進むとみられます。電動ウォーターポンプやバルブ(冷却ウォーターバルブ)は、リザーバータンクなどと一体化したモジュール化が進むとみられます。また、エアコン冷媒は欧州・中国を中心に従来のフロン系冷媒ではなく自然系冷媒が採用され始めています。
放熱材市場では、放熱シート、放熱ギャップフィラー、放熱接着剤などはLiB用途を中心に採用が多く、伸びています。他方、放熱グリースはパワーモジュール用途などで高熱伝導率製品の需要が増加しています。
断熱材・遮熱材・蓄熱材は、自動車室内の断熱・遮熱に対する需要が増えているため、EV1台当たりの使用量が増加しているほか、高級車だけでなく一般乗用車(小型サイズ)への採用も進み、市場拡大が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.EV向けエアコンシステム
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2021年 |
2026年予測 |
2021年比 |
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1,598百万ドル |
6,768百万ドル |
4.2倍 |
EVの生産台数の増加に連動し市場は拡大し、2021年の市場は1,598百万ドルとなりました。
近年は、電費向上を目的としてヒートポンプを搭載する動きが加速しています。ヒートポンプは冬場などの低外気温に弱いため、現状はその補助機能としてPTCヒーターが併用されていますが、PTCヒーターは大きく電力を消費するため、搭載は減少するとみられます。
今後は、高級車や大型車はヒートポンプを搭載していくとみられます。また、一般乗用車では、より効率的なサーマルマネジメントシステムが要求されるため、対応したヒートポンプの開発が期待されます。今後はヒートポンプが主流となると予想されます。
2.EV向けバルブ
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2021年 |
2026年予測 |
2021年比 |
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165百万ドル |
688百万ドル |
4.2倍 |
EVのサーマルマネジメントにおいて空調やバッテリー/モーター周辺に使用される冷却ウォーターバルブを対象とします。
EVの生産台数と連動する形で市場は拡大し、2021年の市場は165百万ドルとなりました。EVの普及に伴い、2022年以降も市場は拡大が続くとみられます。2025年頃には、欧米自動車メーカーなどが先導する形で、バルブと電動ウォーターポンプなどをモジュール化した製品の搭載が始まると予想されます。
モジュール製品は今後、欧米での採用が先行しますが、その他の国・地域でも採用が増えると予想されます。モジュール化により、EV1台当たりのバルブ採用数は減少する一方で、バルブ1個が担う系統数が増えるマルチポート化の進展に伴い製品単価は上昇するとみられます。
3.EV向け冷却配管用樹脂チューブ
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2021年 |
2026年予測 |
2021年比 |
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192百万ドル |
917百万ドル |
4.8倍 |
2021年の市場は192百万ドルとなりました。樹脂チューブを搭載するEVの生産が好調なため、今後も市場は拡大すると予想されます。現状、主に欧米・中韓自動車メーカーの一部車種で部分的に採用されています。樹脂のタイプ別ではナイロン系中心の単層チューブのほか、最内層にPPやPPSを用いた複層チューブなどがあります。
今後、TeslaやRivianなどが先行して全面的に採用するとみられ、中国自動車メーカーなどが各コンポーネント間を樹脂チューブとコネクターでつなぐ構造を取ることで、EV1台当たりの樹脂チューブの使用量・配管長が増加し、市場拡大が予想されます。日本ではトヨタ自動車の一部EV車種で採用されており、今後、日本自動車メーカーのEVで採用が広がるとみられます。
4.EV向け放熱ギャップフィラー
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2021年 |
2026年予測 |
2021年比 |
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329百万ドル |
957百万ドル |
2.9倍 |
放熱ギャップフィラーは有機系バインダーに高熱伝導性フィラー(無機系粉末)を高密度に充填した放熱材料で、発熱体(半導体素子など)と放熱体(ヒートシンク、筐体など)との間に塗布し熱を伝播させるTIM(Thermal Interface Material)として用いられます。液状とシート状がありますが、ここでは液状のみを対象とします。
近年はLiB用途を中心にTIMの厚みを薄くする場合や熱伝導率を向上させる目的で需要が増加しています。LiB用途では特に放熱シートからの切り替え需要が高く、今後、市場は大幅に拡大するとみられます。また、コスト低減を目的に、LiB用途では非シリコーン系製品の採用が増えています。
将来的に、LiBパックの軽量化・薄型化はEV1台当たりの放熱ギャップフィラー使用量の減少要因になりますが、現状ではLiBパックは大型化の傾向にあるほか、LiBセル・モジュールを細分化してリスクを分散・低減していることから、使用量は増加しています。
また、車載充電器用途も増えています。将来的に個々の部品の発熱を低減できるならば使用量は減少しますが、短期的には車載充電器は高出力化で発熱量が増えており、2027年前後までは需要が増加していくとみられます。
【参考】本記事で使用した「2022年 EVサーマルマネジメントと構成部材市場の将来展望」に掲載している調査対象市場
システム
- バッテリー冷却システム
- エアコンシステム
- モーター・PCUの冷却システム
冷却・加温部材
- バッテリー冷却プレート
- バッテリーカバー
- 電動ウォーターポンプ
- 電動コンプレッサ
- バルブ
- ラジエーター
- ヒーター
- 面状発熱体
- 空調ダクト
- 冷却配管用樹脂チューブ
- ペルチェ素子
- エアコン冷媒
- ヒーター電極
放熱材
- 放熱シート
- 放熱ギャップフィラー
- 放熱グリース
- 放熱接着剤
- 熱伝導コンパウンド
- セラミックベース回路基板
断熱材・遮熱材・蓄熱材
- 断熱材(バッテリー、空調ダクト、天井等)
- 合わせガラス用中間膜
- 熱線遮蔽コーティング剤
- 熱線遮蔽フィルム(透明)
- 蓄熱材
◆本記事は「2022年 EVサーマルマネジメントと構成部材市場の将来展望」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。