株式会社富士経済は、リチウムイオン二次電池の需要増加に伴い、拡大が続くリチウムイオン二次電池材料の世界市場を調査し、その結果を「2019 電池関連市場実態総調査 電池材料市場編」にまとめました。
この調査では、リチウムイオン二次電池材料12品目、アルカリ二次電池材料4品目、一次電池材料4品目、金属資源・出発原料3品目、計23品目の市場を調査・分析しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2019 電池関連市場実態総調査 電池材料市場編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2019 電池関連市場実態総調査 電池材料市場編」の全体サマリー
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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二次電池材料 |
2兆7,456億円 |
101.9% |
5兆8,756億円 |
2.2倍 |
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アルカリ |
941億円 |
100.0% |
975億円 |
103.6% |
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一次電池材料 |
1,378億円 |
101.7% |
1,624億円 |
119.9% |
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電解二酸化 |
787億円 |
103.4% |
953億円 |
125.2% |
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合 計 |
2兆8,834億円 |
101.9% |
6兆379億円 |
2.1倍 |
※アルカリ二次電池材料は二次電池材料の、電解二酸化マンガンは一次電池材料の内数です
これまで市場をけん引していたLIB材料の伸びが小幅なことから、2019年の二次・一次電池材料の世界市場は2018年比1.9%増にとどまると見込まれます。今後は、各国の環境規制対応を背景にしたxEV用LIBや再生可能エネルギー利用促進のためのESS用LIBの増加により、LIB材料が拡大をけん引し、2023年には2018年比2.1倍の6兆379億円が予測されます。
アルカリ二次電池材料
アルカリ二次電池材料はニッケル水素電池やニカド電池の材料として使用されており、HVでニッケル水素電池の需要が旺盛なことから拡大が予想されます。しかし、長期的にはHVにおいてもLIBへの移行が想定されており、ニッケル水素電池の需要は限定的になっていくとみられます。
また、アルカリ二次電池材料メーカーはLIB材料も展開しており、設備投資などは今後大幅な需要増加が期待できるLIB材料向けに行われ、アルカリ二次電池材料の増産は生産効率化などによる対応が多いです。しかし、上位メーカーにおいては既にフル生産の状況であることも珍しくなく、アルカリ二次電池材料市場の大幅な伸びは期待しにくいです。
一次電池材料
一次電池材料は一次電池の需要が成熟期にあるものの、堅調な電池需要と二次電池材料としても使用される電解二酸化マンガンの需要増加により、2023年に2018年比19.9%増の1,624億円が予測されます。
一次電池向けでは、電解二酸化マンガンや亜鉛粉、アルカリマンガン乾電池用セパレータはアルカリマンガン乾電池の需要増加で、金属リチウム箔は二酸化マンガンリチウム電池や塩化チオニルリチウム電池などリチウム一次電池の需要増加により拡大していくとみられます。
また、中国におけるE-Bikeの新しい業界標準の発行により搭載電池が鉛蓄電池からLIBへの移行が期待されており、その中でも正極活物質にLMOを使用したLIBが有望視されていることからLMOの前駆体としても使用される電解二酸化マンガンの伸びが予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.リチウムイオン二次電池(LIB)材料の世界市場
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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正極活物質 |
1兆3,452億円 |
90.6% |
3兆1,095億円 |
2.1倍 |
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負極活物質 |
2,712億円 |
120.0% |
5,817億円 |
2.6倍 |
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電解液 |
2,195億円 |
118.6% |
4,971億円 |
2.7倍 |
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セパレータ |
2,753億円 |
112.3% |
5,686億円 |
2.3倍 |
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その他 |
5,403億円 |
117.8% |
1兆212億円 |
2.2倍 |
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合 計 |
2兆6,515億円 |
102.0% |
5兆7,781億円 |
2.2倍 |
※その他はバインダ、集電体、外装材、導電助剤などが対象です
LIB材料市場は2018年で2017年比38.3%増の2兆5,995億円となりました。LIBの需要増加に加え、正極活物質の原料の一つであるコバルト価格が上昇したことも市場を押し上げる要因となりました。
2019年はLIBの需要が増加したものの、コバルト価格が2017年を下回る価格まで落ち、正極活物質の実績が二桁近く縮小したことで、市場は2018年比2.0%増にとどまると見込まれます。しかし、数量ベースではすべての品目で伸びており、今後はLIBの需要増加やxEV向けLIBの性能向上を目的とした高容量で高価格な材料の採用が増加することで、2023年には2018年比2.2倍の5兆7,781億円が予測されます。
エリア別のメーカーの動向をみると、日本・韓国材料メーカーは、高付加価値材料に活路を見出しています。日本材料メーカーは日本LIBメーカーと北米EVメーカー向け電池での採用が多いです。韓国材料メーカーは韓国LIBメーカーが欧州自動車メーカーへ採用の働きかけを強化していることから、需要増加が今後期待されます。
一方、中国材料メーカーは中国LIBメーカー向けが中心であり、中国でのEV普及施策による需要増もあり市場での存在感を増してきました。大幅な設備増強を進めたこともあり供給過剰に陥っており、上位メーカーなどは技術力の向上とともに日本など海外LIBメーカーで採用されるケースも増えていますが、中小メーカーは苦戦しています。また、2019年には補助金の大幅減額による中国自動車メーカーの資金繰り悪化の影響を受けた電池メーカーもみられ、それによる材料メーカーへの売掛金の未払いなどもあり、厳しい環境下の材料メーカーも多いです。
正極活物質
LIB材料の中で、最も規模が大きいのは正極活物質です。小型民生用LIBで採用されるコバルト酸リチウム(LCO)はコバルト価格の下落により2019年は2018年比49.7%減、正極活物質の市場は同9.4%減が見込まれます。
今後、xEV向けで大幅な伸びが予想されるのが三元系とハイニッケルであり、三元系は2022年に、ハイニッケルは2023年にそれぞれ1兆円を突破するとみられ、正極活物質の市場は2023年に3兆1,095億円が予測されます。
中国では、LIBのエネルギー密度の向上が挙げられた2018年のxEV補助金給付要件を満たせることから、ハイニッケルの需要が急増しています。しかし、2019年に再び補助金給付の要件が変更され、高容量な電池を搭載する気運が薄れたこと、また、2020年末には補助金の廃止が予定されていることから、xEVのコストダウンは必須になり、高コストなハイニッケルから再び低コストなリン酸鉄リチウム(LFP)の採用が増えるとみられます。
このほかマンガン酸リチウム(LMO)は二輪車や三輪トラック、E-Bikeの鉛蓄電池からLIBへの置き換え需要の増加が期待されます。
負極活物質
主に炭素系物質が使用されており、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンなどがあります。また、高容量化への対応としてシリコン系負極なども提案されています。現状では黒鉛が多いですが、航続距離延伸を目的にシリコン系負極の採用機運が高まっています。現状、正極活物質にハイニッケル、負極活物質に黒鉛とシリコン系の混合というのが最も高容量化が図れるとみられています。
2.リチウムイオン二次電池材料における主要金属の需要量
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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炭酸リチウム |
17.9万トン |
122.6% |
41.8万トン |
2.9倍 |
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水酸化リチウム |
5.9万トン |
143.9% |
18.0万トン |
4.4倍 |
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ニッケル |
8.9万トン |
141.3% |
26.4万トン |
4.2倍 |
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コバルト |
7.3万トン |
107.4% |
12.7万トン |
186.8% |
LIB材料には、様々な希少金属が使用されており、主な金属として、炭酸リチウム、水酸化リチウム、コバルト、ニッケルが挙げられます。炭酸リチウムは正極活物質であるLCO、三元系、LFP、LMOや、電解液の材料である電解質塩で、水酸化リチウムは同じく正極活物質のハイニッケルやLFPで使用されています。このほかニッケルは三元系やハイニッケルで、コバルトはLCOや三元系、ハイニッケルで使用されます。
LIBの需要増加により主要金属の需要量も増加が予想されます。しかし、コバルトは他の主要金属と比較して価格が高く、価格高騰の際の影響が大きいことから使用量を減らす動きなどもあり、需要量の伸びは比較的緩やかになるとみられます。一方、ニッケルはコバルト並みにエネルギー容量が高いことから、EVの航続距離延伸などを実現する電池の高容量化を目的にコバルトの代わりに使用されており、需要量は大幅に伸びるとみられます。
【参考】本記事で使用した「2019 電池関連市場実態総調査 電池材料市場編」に掲載している調査対象市場
一次電池材料
- 電解二酸化マンガン
- 亜鉛粉
- 金属リチウム箔
- アルカリマンガン乾電池用セパレータ
二次電池材料
アルカリ二次電池材料
- アルカリ二次電池正極活物質(水酸化ニッケル、硝酸ニッケル)
- 水素吸蔵合金
- アルカリ二次電池セパレータ
- アルカリ二次電池集電体(パンチングメタル、発泡ニッケル)
リチウムイオン二次電池材料
- 正極活物質
- 負極活物質
- 電解液
- セパレータ
- 正極バインダ
- 負極バインダ
- 正極集電体
- 負極集電体
- 金属外装缶用ニッケルメッキ鋼板
- 角型用アルミ板
- ラミネート外装材(アルミ箔・SUS箔)
- 導電助剤
金属資源・出発原料
- LIB正極前駆体
- 電解質塩(LiPF6、LiBF4、LiTFSI、LiFSI)
- 韓国リチウムイオン二次電池リサイクル・リユースの動向
◆本記事は「2019 電池関連市場実態総調査 電池材料市場編」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。