株式会社富士経済は、ガラス繊維や難燃剤などを配合し樹脂の機能性向上を図れることから幅広い分野で使用されるコンパウンドの世界市場を調査し、その結果を「2020 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略」にまとめました。
この調査では、コンパウンドをはじめ、添加物・フィラーの市場や用途・価格・開発動向などを調査・分析しました。また、需要の中心となる中国の経済成長の低迷などから、事業の買収・売却や工場の新増設・統廃合を進める有力樹脂メーカーやコンパウンドメーカーなど58社の生産・エリア別の販売動向などもあわせて整理しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略」の全体サマリー
1.コンパウンドの世界市場
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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3,091万トン |
95.8% |
3,442万トン |
106.7% |
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9兆8,850億円 |
95.3% |
10兆8,717億円 |
104.9% |
新興国を中心とした経済成長に伴い市場は拡大してきました。しかし、2019年の市場は拡大をけん引してきた中国の経済成長の鈍化と世界全体での自動車生産台数の減少により縮小するとみられます。汎用樹脂コンパウンドは、多くの用途で需要が減少しており大きく縮小する一方、スーパーエンプラコンパウンドは、自動車分野や電気電子分野における高耐熱化や軽量化のニーズの高まりにより微減にとどまるとみられます。
長期的には中国の需要回復や、東南アジアやインドなどアジア地域を中心とした国々の経済成長により需要が増加し、市場は拡大していくとみられます。
地域別
自動車や電化製品などの最終製品の生産が多い中国の需要が40%以上を占めています。また、スーパーエンプラコンパウンドは自動車の高性能部品で採用されることから日欧米など先進国の需要が60%近くを占めています。
用途別
自動車分野や電気電子分野の需要が高く、それぞれ35%以上を占めています。
自動車分野はPPコンパウンドが40%以上、PVCコンパウンドが30%以上を占めています。安価な汎用樹脂コンパウンドは、内外装部品など大型部品を中心に採用されており、内外装部品以外の燃料系部品、機構部品、電装部品では耐熱性や耐薬品性、機械的強度に優れる汎用エンプラ、スーパーエンプラコンパウンドが多く使用されています。また、PPコンパウンド、PA66コンパウンド、PA6コンパウンド、PBTコンパウンドではガラス繊維で強化した製品も多く使用されています。
電気電子分野では、電線被覆に用いられるPVCコンパウンドが45%近く、電気器具に用いられているABSが25%以上を占めています。汎用樹脂コンパウンドは電線被覆や電子機器筐体に用いられており、難燃性を付与した製品が使用されています。汎用エンプラコンパウンドでは家電、OA機器、AV機器など様々な用途で使用されるPCコンパウンドの割合が高いです。
2.カテゴリー別動向
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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汎用樹脂 |
2,599万トン |
95.6% |
2,900万トン |
106.7% |
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汎用エンプラ |
466万トン |
96.9% |
510万トン |
106.0% |
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スーパーエンプラ |
26.7万トン |
98.2% |
31.5万トン |
115.8% |
汎用樹脂コンパウンドはコンパウンド市場の80%以上を占め、特にPVCコンパウンド、ABSの割合が高いです。PPコンパウンドとABSは、自動車生産台数の減少や世界経済の低迷により2018年から縮小しており、二年連続マイナスになるとみられます。PEコンパウンドは住宅投資やインフラ整備、PVCコンパウンドは電線被覆や自動車、PSコンパウンドは家電やOA機器の需要と連動しており、2019年は軒並み縮小しますが、今後は自動車や消費財などの需要回復により、再び市場は拡大していくとみられます。
汎用エンプラコンパウンドはPCコンパウンド、PA66コンパウンド、PBTコンパウンドの割合が高いです。自動車分野の需要が高い樹脂が多いため、2019年は全ての品目で縮小が予想されます。なお、PA66コンパウンドとm-PPEは需給のひっ迫が続いていましたが、2019年は需要減退により供給に若干の余裕がみられました。
スーパーエンプラコンパウンドは、PPSコンパウンドが40%以上を占めており、PA6Tコンパウンド、LCPコンパウンドなども割合が高いです。PPSコンパウンドは自動車分野でも多く採用されており、2019年は伸び率が鈍化するものの拡大が続くとみられます。また、LCPコンパウンドはスマートフォンでの採用部品数の増加により、PA9Tコンパウンドは他材料からの代替需要獲得により2019年も拡大するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.PPコンパウンド【汎用樹脂コンパウンド】
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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519万トン |
94.9% |
576万トン |
105.3% |
汎用的なプラスチックとして、自動車、電気電子、食品包装フィルム、玩具、雑貨といった幅広い分野で使用されています。用途の90%以上が自動車分野であり、市場は自動車生産台数の減少や世界経済の低迷により、2018年は微減となり、2019年は2018年比5.1%減と2年連続で縮小するとみられます。
自動車分野では内装部品や外装部品を中心に採用されています。ECU筐体向けが新たな用途として注目されており、アルミニウム合金からの代替として、ガラス繊維により耐熱性を向上させたPPコンパウンドの採用が進んでいます。注目のグレードは、長繊維のガラス繊維で強化した製品です。耐衝撃性に優れており、自動車の軽量化ニーズの高まりにより自動車の外装部品を中心に採用が増えています。また、炭素繊維強化グレードの開発も行われており、価格やリサイクルの観点から汎用樹脂コンパウンドの中ではPPコンパウンドの採用が期待されます。
長期的には自動車生産台数の増加に伴うPPコンパウンドの需要増加により、市場は再び拡大が予想されます。
2.PA66コンパウンド【汎用エンプラコンパウンド】
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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111万トン |
97.4% |
120万トン |
105.3% |
機械的特性、耐薬品性、成形性に優れており、ガラス繊維を配合して耐熱性や機械的特性をさらに向上させて使用することが多いです。2017年、2018年と原料需給のひっ迫が続き、数量ベースで伸びが緩やかだった一方、金額ベースは価格上昇により大幅に拡大しました。2019年は自動車生産台数の減少により自動車分野の需要が落ち込み、市場は数量・金額ともに縮小するとみられます。需要減少により供給に若干の余裕がみられたものの、価格は変わらず高く、PA6コンパウンドなど他の樹脂への切り替えを模索する動きがでています。長期的には原料メーカーの供給能力の増強により原料不足は解消され、市場は数量ベースで拡大、金額ベースで縮小が予想されます。
用途別では、自動車分野の需要が最も高いです。金属代替・軽量化ニーズの高まりにより需要が増加しており、先行する欧州では、エンジンルームや機構部品以外にも、コネクター部品や外装部品などで多く採用されています。また、エリア別にみると、先進国は自動車分野の需要が高い一方で、新興国では先進国から生産移管の進んだ電気電子分野の需要も高いです。注目のグレードとしては、耐熱性とともに耐熱老化安定性を高めた高耐熱PA66コンパウンドがあげられます。自動車のエンジン周辺部品での採用が期待され、PA6コンパウンドや高耐熱PAコンパウンドなどと競合するとみられます。
3.PPSコンパウンド【スーパーエンプラコンパウンド】
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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124,500トン |
101.3% |
147,100トン |
119.7% |
機械的強度や耐薬品性、高耐熱性、寸法安定性、耐湿熱性、成形加工性に優れ、樹脂自体に難燃性があり自己消火性も保有しています。2017年、2018年とHV/EV用耐熱部品の需要増加により高い伸びとなりました。2019年は自動車生産台数の減少に伴い需要が減少し、市場は2018年比1.3%増と小幅な伸びになるとみられます。
用途別では自動車分野の需要が最も多く、60%以上を占めています。HV/EVの普及に加え、新興国ではまだPPSコンパウンドの使用量は多くないことから、採用の進展による市場拡大が期待されます。
4.PAEKコンパウンド【スーパーエンプラコンパウンド】
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2019年見込 |
2018年比 |
2023年予測 |
2018年比 |
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7,190トン |
90.3% |
8,760トン |
110.1% |
耐熱性や摺動特性、生体適合性、放射線透過性、自己消火性などに優れています。自動車や航空宇宙産業における金属代替、軽量化などのニーズもあり市場は高い伸びが続いていましたが、2019年は欧州や中国で自動車部品や半導体装置の需要が停滞したことで、縮小するとみられます。
ガラス繊維や炭素繊維で強化した製品などが展開されているほか、ユーザーのニーズに対応して開発されるケースも多いです。生産能力の増強や中国メーカーを中心とした新規参入の増加により価格低下も進んでおり、価格以外の価値訴求として、大手メーカーはギア部品(自動車や産業機器など)、航空機部品、医療機器などの加工メーカーとの共同開発を積極的に進めています。
長期的には、自動車の軽量化の進展による自動車関連での採用拡大、航空宇宙や半導体装置部品、医療分野などでの需要増加により市場は拡大していくとみられます。
【参考】本記事で使用した「2020 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略」に掲載している調査対象市場
コンパウンド・添加剤・フィラー市場
汎用樹脂コンパウンド
- PPコンパウンド
- PEコンパウンド
- PVCコンパウンド
- PSコンパウンド
- ABS
汎用エンプラコンパウンド
- PCコンパウンド
- PA6コンパウンド
- PA66コンパウンド
- POMコンパウンド
- m-PPE
- PBTコンパウンド
- GF-PET
スーパーエンプラコンパウンド
- PPSコンパウンド
- LCPコンパウンド
- PA6Tコンパウンド
- PA9Tコンパウンド
- PAEKコンパウンド
- PTFEコンパウンド
添加剤・フィラー
- ガラス繊維
- 難燃剤
企業事例
- 日本メーカー31社
- 中国メーカー7社
- 韓国メーカー5社
- 米国メーカー5社
- 欧州メーカー9社
- 他1社
◆本記事は「2020 コンパウンド市場の展望とグローバルメーカー戦略」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。