株式会社富士経済は、樹脂や塗料・インキなどへの添加・充填、基材への塗布・成膜、粉末冶金をはじめとする焼結・成形、ろ過、研磨など、多岐にわたって使用され、素材やサイズ、形状によって多様な展開が可能な微粒子材料である微粉体の世界市場を調査しました。その結果を「2020年 微粉体市場の現状と将来展望」にまとめました。
この調査では微粉体を素材別に、汎用無機10品目、金属6品目、金属酸化物5品目、セラミックス7品目、ポリマー9品目、その他ナノ材料2品目の市場を調査・分析しました。これに加え3Dプリンター用パウダーや非分解性ポリマー微粒子の代替となる生分解性パウダーなど用途別の注目市場もまとめました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020年 微粉体市場の現状と将来展望」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020年 微粉体市場の現状と将来展望」の全体サマリー
微粉体の世界市場
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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汎用無機 |
2兆8,967億円 |
102.4% |
3兆2,777億円 |
113.2% |
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金属 |
7,273億円 |
98.1% |
9,392億円 |
129.1% |
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金属酸化物 |
492億円 |
98.2% |
583億円 |
118.5% |
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セラミックス |
6,195億円 |
97.6% |
6,822億円 |
110.1% |
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ポリマー |
1兆808億円 |
102.9% |
1兆2,173億円 |
112.6% |
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その他ナノ材料 |
406億円 |
109.4% |
609億円 |
150.0% |
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合 計 |
5兆4,140億円 |
101.3% |
6兆2,355億円 |
115.2% |
※市場データは四捨五入しています
微粉体の世界市場は、2019年に5兆4,140億円となりました。2023年には2019年比15.2%増の6兆2,355億円が予測されます。
カテゴリー別で最も市場規模が大きいのが汎用無機です。活性炭が中国や東南アジアなど新興国における水処理・環境浄化ニーズの高まりにより伸びており、工業用吸着剤や自動車排ガス処理用触媒として使用されるゼオライトも好調です。
金属や金属酸化物、セラミックスは、半導体需要の停滞により2019年の市場は縮小しました。今後は半導体需要の回復が予想されることや、金属は3Dプリンターの成形材料として使用されるチタン粉やアルミニウム粉、金属酸化物は高純度酸化チタンやサンスクリーンなど化粧品で採用される超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化亜鉛、セラミックスではチタン酸バリウムが伸びることで市場の拡大が予想されます。
汎用無機に次ぐ市場規模であるポリマーは、エレクトロニクスや自動車での需要増加により拡大しています。また、3Dプリンター用の成形材料であるポリアミドの伸びが予想されます。一方、海洋汚染問題を契機に規制が進んだことで、化粧品向けマイクロビーズの需要が減少しています。
その他ナノ材料は、カーボンナノチューブが二次電池材料として急成長しています。今後、セルロースナノファイバーが量産体制構築や新規用途開拓、コスト低減などにより伸びが期待されています。
◆注目個別市場サマリー
1.生分解性パウダー
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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36億円 |
105.9% |
54億円 |
150.0% |
セルロースや球状セルロース、酢酸セルロース、フルーツパウダー、生分解性樹脂パウダーといった生分解性を有する微粒子パウダーを対象としました。マイクロプラスチック規制の強化から、化粧品向けを中心に採用が進んでいます。
2015年12月以降、洗顔料やボディソープなどで使用されるスクラブ剤などマイクロビーズの使用が各国で規制され、PE(ポリエチレン)やPS(ポリスチレン)からセルロースやフルーツパウダーなどへの代替が進みました。日本ではスクラブ剤を使用しない商品が一般化しましたが、欧州などでは代替が進んだことで、2019年の市場は2018年比5.9%増の36億円となりました。
近年、マイクロプラスチックの中でもマイクロビーズよりも粒径の小さいマイクロパウダーの規制が検討され始めています。マイクロパウダーは滑り性や触感付与のためにファンデーションや日焼け止めなどで滑り剤として使用されています。2020年以降中国や欧州を中心に規制が強化され、PA(ポリアミド)やシリコーン、アクリルなどから球状セルロースや酢酸セルロース、生分解性樹脂パウダーへ代替されるとみられます。マイクロプラスチック規制の強化により、生分解性パウダーの用途が広がっていき、2023年の市場は2019年比50.0%増の54億円が予測されます。
2.3Dプリンター用パウダー
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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金属パウダー |
1,614億円 |
187.2% |
4,339億円 |
2.7倍 |
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樹脂パウダー |
250億円 |
119.0% |
420億円 |
168.0% |
3Dプリンターの普及により、3Dプリンターで部品などを成形する際に使用する金属パウダー、樹脂パウダーの市場は急拡大しています。
金属パウダーは、海外を中心に航空宇宙や医療分野で採用が進んでいます。部品を一体化できることから部品点数の大幅な減少や軽量化、高強度化が可能となり、航空宇宙分野では航空機エンジンパーツが量産されています。医療分野ではインプラントで量産実績があり、人工骨でも採用されています。また、自動車分野での採用も進みつつあり、BMWやVolkswagenが採用を開始しています。なお、日本では試作や金型での採用が主であり、量産実績は少ないです。
樹脂パウダーは、SLS(粉末積層造形法)で使用されるパウダーを対象としました。市場の大半をPAが占めており、試作品向けに採用されています。PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などスーパーエンプラ系のパウダーが投入されており、航空宇宙や自動車、医療分野で今後実用化が進むと期待されています。
3.カーボンナノチューブ
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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405億円 |
109.2% |
605億円 |
149.4% |
1nm~200nmの繊維状・筒状粒子で、強度や高電流密度、高熱伝導、導電性に優れています。
リチウムイオン二次電池の正極活物質であるリン酸鉄リチウムの導電助剤として使用されており、中国でのEVやEVトラック・バスの需要増加により拡大してきました。2019年は中国でのEV購入補助金の大幅な減額による電池需要の鈍化に伴い、カーボンナノチューブの伸びも緩やかとなりました。しかし、EVの世界的な普及や負極活物質の導電助剤での採用増加により市場の拡大は続き、2023年には2019年比49.4%増の605億円が予測されます。
4.窒化ホウ素
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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149億円 |
99.3% |
191億円 |
128.2% |
0.5μm~30μmの鱗片状・球状粒子で、高温潤滑性や電気絶縁性、化学的安定性、熱伝導性に優れる六方晶窒化ホウ素を対象としました。
半導体製造装置用部品やアルミ加工用鋳造型での使用が多く、2019年は半導体需要の停滞により市場は縮小しました。EVや5G通信の普及によりパワー半導体向け放熱フィラーで採用が伸び、化粧品添加剤ではマイクロプラスチック規制により代替品としての採用が期待されることから、2023年の市場は2019年比28.2%増の191億円が予測されます。
5.超微粒子酸化亜鉛
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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66億円 |
103.1% |
77億円 |
116.7% |
10nm~100nmの球状粒子で紫外線遮蔽性や透明性に優れています。
紫外線防止剤としてサンスクリーンやファンデーションなど化粧品で主に使用されています。サンスクリーンの需要増加、ファンデーションや化粧下地、乳液、口紅など化粧品での採用増加により、市場は堅調に伸びています。欧州でガイドラインの変更により超微粒子酸化亜鉛の化粧品への含有が認められたことで、欧州における需要増加が予想されます。また、米国ハワイ州で2021年から一部の有機系紫外線吸収剤を含有するサンスクリーンの販売が禁止されることから、超微粒子酸化亜鉛への代替が進むとみられます。
6.高吸水性樹脂
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2019年 |
2018年比 |
2023年予測 |
2019年比 |
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9,530億円 |
102.8% |
1兆572億円 |
110.9% |
100μm~600μmの球状粒子で吸水性や保水性、ゲル化性、膨潤性、粘着性に優れています。原料はアクリル酸やポリアクリル酸などです。
おむつや生理用品など衛生用品の吸収材として使用されています。これまで欧州や北米が需要の中心でしたが、近年では中国や東南アジア、中東でも衛生用品が伸びていることから、今後は新興国の需要が市場の拡大をけん引するとみられます。しかし、参入メーカーが相次いで生産能力増強を図ったことから、供給過剰により価格下落が起きています。そのため、市場の伸びは緩やかになるとみられ、2023年に市場は2019年比10.9%増が予測されます。
【参考】本記事で使用した「2020年 微粉体市場の現状と将来展望」に掲載している調査対象市場
汎用無機
- シリカ(結晶・溶融)
- フュームドシリカ
- 湿式シリカ
- 高純度コロイダルシリカ
- 炭酸カルシウム
- タルク
- ゼオライト
- 活性炭
- 水酸化アルミニウム
- 高純度マグネシウム系化合物
金属
- アルミニウム粉
- ニッケル超微粉
- 銀粉
- 銅粉・銅超微粉
- チタン粉
- 鉄粉・鉄系合金粉
金属酸化物
- 高純度酸化チタン
- 光触媒用酸化チタン
- 超微粒子酸化チタン
- 超微粒子酸化亜鉛
- 酸化セリウム(研磨材)
セラミックス
- アルミナ
- ジルコニア(湿式法)
- 窒化アルミニウム
- 窒化ケイ素
- 窒化ホウ素
- 炭化ケイ素
- チタン酸バリウム
ポリマー
- アクリル
- シリコーン
- ポリウレタン
- フッ素樹脂(低分子量PTFE)
- 超高分子量ポリエチレン
- ポリアミド
- その他熱可塑性樹脂微粒子(PS、PE、PES、PEEK、PPS、PAI)
- その他熱硬化性樹脂微粒子(フェノール、ベンゾグアナミン・メラミン、全芳香族ポリエステル、PI)
- 高吸水性樹脂
その他ナノ材料
- カーボンナノチューブ
- セルロースナノファイバー
注目用途別パウダー編
- 生分解性パウダー
- 3Dプリンター用金属パウダー
- 3Dプリンター用樹脂パウダー
- 触媒用パウダー
- ファインセラミックス原料
- 低誘電化フィラー
◆本記事は「2020年 微粉体市場の現状と将来展望」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。