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デジタル技術を活用するエネルギー関連サービスの国内市場を調査。2035年度のVPP/DR市場を662億円、P2P取引プラットフォームサービス市場を24億円と推計

株式会社富士経済は、エネルギーの有効活用やエネルギーデータ活用による新規事業創出、効率化による収益性改善が期待される、AI・IoT・ブロックチェーンなどデジタル技術を活用するエネルギー関連サービス市場について調査し、その結果を「エネルギーデジタルビジネス市場の現状と将来展望 2020」にまとめました。

この調査では、デジタル技術を活用するエネルギーサービス市場36品目の動向に加え、先進的な取り組みを進める海外企業のサービス事例の把握にも努めました。

エネルギーサービスはデジタル技術の活用により、新規事業創出とサービス事業者の収益性改善が期待されています。例えば、卒FIT関連を中心にPV余剰電力や多様なエネルギーリソースの有効活用など新規事業創出を目指した取り組みが開始しています。また、設備の稼働の自動制御や最適化、遠隔監視や自動化による省人化・保安力向上が可能となり、収益性改善に貢献するとみられます。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「エネルギーデジタルビジネス市場の現状と将来展望 2020」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

「エネルギーデジタルビジネス市場の現状と将来展望 2020」の全体サマリー

デジタル技術を活用するエネルギー関連サービスの国内市場

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デジタル技術の活用が実証段階から実用段階に移行しつつあり、今後サービスの普及が進むことで、2035年度には1兆2,296億円が予測されます。

市場をけん引するのは、EaaS(Energy as a Service)領域/エネルギーサービスです。サービス事業者が需要家の拠点に設備を設置・所有し、運転管理/メンテナンス、エネルギー供給を一括で担うESP(エネルギーサービスプロバイダ)事業を中心に、設備やニーズによって柔軟な提案が進み、ビジネスモデルの多様化が進んでいくとみられます。

エネルギー利用領域は、各種エネルギーデータの活用による既存の省エネサービスや遠隔監視・故障予知・制御サービスに加え、物流配送の適正化や不正口座開設検知のスマートメーターデータ分析サービスなど、非エネルギー分野での活用も期待されます。

保守・メンテナンス領域は、デジタル技術の採用により遠隔監視や自動化による省人化・保安力の向上が可能となり、テレメータリングサービス(自動検針サービス)の伸長に加え、ドローンによる点検サービスの展開が進むとみられます。

送配電・需給調整領域は、容量市場開設によるVPP/DRの普及、卒FIT案件の増加による余剰電力買取サービス(太陽光発電)の伸びにより、拡大が予想されます。

◆注目個別市場サマリー

1.VPP/DR(Virtual Power Plant/Demand Response)

2020年度見込

前年度比

2035年度予測

2019年度比

66億円

188.6%

662億円

18.9倍

DRとは、エネルギーリソースを制御することで電力需要を変化させる手法であり、電気料金の設定によって需要を制御する方法と、アグリゲーターと契約した需要家が要請に応じて電力需要を抑制・創出する方法に分けられます。市場は2023年度まで実施される調整力公募のうちDRが活用される「電源I'」の落札金額と、2024年度から開設される容量市場のDRの落札金額とします。

調整力公募のDRの契約は入札によって決まり、電力需給ひっ迫時に電力需要の抑制を約束する需要家へインセンティブが支払われます。DRに参加する施設は工場が多く、自家発電設備の焚き増しや生産設備の稼働調整などで需要調整を行っています。

容量市場が開設される2024年度以降、アグリゲーターが事業を本格化させるとみられ、市場拡大と共に参加する需要家のすそ野も広がっていくと期待されます。

2.P2P取引プラットフォームサービス

2020年度見込

前年度比

2035年度予測

2019年度比

0.2億円

24億円

P2P(Peer to Peer)取引とは、不特定多数が取引管理者を介さず1対1で直接取引を行う形態です。エネルギー分野では発電設備を保有する需要家による余剰電力の売買などが該当し、市場は卒FIT電力向けP2P取引でプラットフォーマーに支払った売買手数料とします。

電気事業法では小売電気事業者以外の電力販売が認められておらず、現状ではプラットフォーマーが小売電気事業者登録を行うことで市場が形成されています。2022年度以降電気事業法が改正されることで、幅広い需要家がP2P取引を行えるようになり、サービスの需要も高まるとみられます。

RE100加盟企業やSDGsに注力する企業では、環境価値付き電力へのニーズが高まっており、卒FIT住宅のPV余剰電力が増えていくことでP2Pの取引が増えていき、市場は拡大していくと予想されます。

3.蓄電池 as a Service

2020年度見込

前年度比

2035年度予測

2019年度比

22億円

122.2%

406億円

22.6倍

サービス事業者が需要家の拠点に蓄電池を設置・所有し、契約期間(10年もしくは15年)の運転管理/メンテナンスを担うサービスです。市場は年間サービス料とします。

住宅分野では、卒FITによるPV電力の自家消費や、災害時の非常用電源として蓄電池のニーズが高まっています。しかし、蓄電池は高価格であることから、初期費用を抑えて導入できるリース/レンタルサービスが展開されています。

2018年度から2019年度にかけてサービスを開始する事業者が増え、提案活動が活発化しています。売電価格の低下や卒FIT住宅が毎年20万戸以上増加していくことから、自家消費ニーズは今後さらに高まり、蓄電池の価格低下やサービスのラインアップの拡充、サービスの認知度向上により市場は拡大が予想されます。

なお、デジタル技術の採用としては、AIを実装し充放電を最適制御する蓄電池が発売されており、異常や寿命の兆候の早期発見を目的にIoTの活用が進んでいます。

4.スマートメーターデータ分析サービス(物流配送の適正化)

2020年度見込

前年度比

2035年度予測

2019年度比

114億円

スマートメーターから得られる設備情報や電力データを活用して在宅情報を把握できることから、宅配便の再配達回避を目的とした物流配送の適正化サービスでの活用が期待されます。市場は年間利用料とします。

以前から、GPSや地図ソフトを活用した配車計画や運行計画の管理による配送・輸送業務の効率化が進められてきました。これに正確な在宅情報を得られるスマートメーターのデータが加わることで、宅配便の再配達の減少に貢献するとみられます。

現状は実証実験が進むとともに、スマートメーターデータの個人情報活用に関する具体的な仕組みづくりが行われています。本格的なサービス展開は2022年度以降とみられ、特に再配達率の高い都市部で導入が進み、都市部近郊、地方部へ普及するとみられます。

5.ドローンによる送配電・鉄塔点検サービス

2020年度見込

前年度比

2035年度予測

2019年度比

0.5億円

166.7%

7.5億円

25.0倍

送配電線や鉄塔などの継続的な設備の維持管理が課題となっており、ドローンを利用した保守点検の高度化、効率化に向けた取り組みが進められています。市場は運用サービスの年間契約料とします。

一般送配電事業者が主体となった実証試験が中心ですが、ドローンの飛行要件が明確化され、法改正も行われたことで、今後サービスの活用増加が期待されます。

デジタル技術の活用としてはAIによる撮影欠損部分の補正機能の開発やディープラーニングによりサビの発生検知、サビの進行状態の数値化などの活用が進められています。

【参考】本記事で使用した「エネルギーデジタルビジネス市場の現状と将来展望 2020」に掲載している調査対象市場

デジタル技術を活用するエネルギー関連サービス市場

発電領域

  • 火力発電遠隔監視・故障予知・制御サービス
  • 太陽光発電遠隔監視・故障予知・制御サービス

送配電・需給調整領域

  • VPP/DR
  • 余剰電力買取サービス(太陽光発電)
  • 余剰電力買取サービス(エネファーム)
  • 電力預かりサービス
  • 需給管理代行サービス
  • 受変電設備監視・制御サービス

保守・メンテナンス領域

  • ドローンによる送配電・鉄塔点検サービス
  • ドローンによるPVパネル点検サービス
  • テレメータリングサービス(自動検針サービス)

デジタル化基礎インフラ領域

  • ビットコイン決済
  • 公衆電源サービス

エネルギー利用領域

  • P2P取引プラットフォームサービス
  • 排出権取引サービス
  • エネルギーデータ取引
  • 情報銀行
  • ディスアグリゲーションサービス
  • エネルギー需要予測サービス
  • 日射量予測/太陽光発電量予測サービス
  • スマートメーターデータ分析サービス(地理情報提供)
  • スマートメーターデータ分析サービス(物流配送の適正化)
  • スマートメーターデータ分析サービス(不正口座開設検知)
  • 空調設備遠隔監視・故障予知・制御サービス
  • ボイラ遠隔監視・故障予知・制御サービス
  • 住宅省エネサービス
  • 業務・産業向け省エネサービス

EaaS領域/エネルギーサービス

  • サイト複数設備エネルギーサービス
  • 太陽光発電設備 as a Service
  • 蓄電池 as a Service
  • 自家発電設備 as a Service
  • 空調・熱源設備 as a Service
  • エコキュート as a Service
  • 受変電設備 as a Service
  • その他エネルギーサービス
  • サブスク型電力小売サービス

バックオフィス領域(市場はエネルギー分野に限定せず算出)

  • チャットボット/コールセンター効率化サービス
  • ARを活用した業務支援サービス
  • VRを活用した業務支援サービス

◆本記事は「エネルギーデジタルビジネス市場の現状と将来展望 2020」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。